薬学部では3回生になると研究室配属がありますね。
自分の希望を提出して、成績順で振り分けられていく方式が多いと思います。
そんなとき、悩みの種になるのが・・・
どこの研究室に行けばいいのか?
どうやって選べばいいのか?
ということではないでしょうか?
私も悩みました。
どこの研究室がいいか、メンバーはどうか、将来はどんな方向に進むかなど色々考えることがたくさんありました。
先輩からアドバイスをもらったり、ネットで調べながら情報を集め、研究室をなんとか決めたのを覚えています。
私と同じように、研究室選びに悩んでいるあなたの役に立てばと思い、私が考える研究室選びのポイントをまとめました。
研究室を1回選ぶと簡単には変えられません。
後になって後悔しないようにしっかりと選んでください。
目次
自分のやりたいことは何か?

最初に考えるべきことはあなたのやりたいことについてです。
あなた自身が何に興味を持っているかをしっかり考えましょう。
研究室は大きく分けて4種類に分けることができます。
生物系
化学系
物理・分析系
臨床系
まずは大きく4つに分けた研究室の中で、あなたが一番興味のあるところを探しましょう。
まったく、興味がない分野に行ってしまうと、研究室生活がつまらなくなってしまうかもしれません。
生物系の研究室
1つ目は生物系です。
生物系とは主に、薬が生体の中でどんな変化をしているかについて研究しています。
マウスに薬物を投与してどんな変化があるか?
細胞が薬物にどんな反応を示すか?
薬物が酵素によってどんな変化を示すか?
実際にマウスや細胞を用いて、薬物の変化を研究しています。
これらの分野は、新薬を開発するにあたって重要な学問です。
せっかくのガンに作用する薬でも、マウスを殺してしまっては意味がありません。
また、ガン細胞や菌に効かなければ薬にはなりません。
細胞やDNA、薬理学を研究したい人にはぴったりな研究分野です。
化学系の研究室
続いては化学系の研究室です。
化学系は主に有機化合物を扱っています。
薬は全て有機化合物でできています。
その根幹となる物質について研究します。
新薬の可能性がある有機化合物を合成
新しい構造の開発
新しい反応の開発
創薬をする上で最も必要な学問なので、難しくもありますが、楽しいです。
しかし、最近ではAIが有機化合物を作れるようになったり、新薬ができにくくなっていることから、化学系の研究者に不利な状況が続いています。
有機化学が好き、創薬化学に興味がある人にはぴったりな研究室でしょう。
物理・分析系の研究室
物理・分析系の研究室では、主に薬についての測定や観測を行います。
薬がどれくらいの割合で分解するのか
どれくらいの割合で体に吸収されるのか
生体内ではどんな形をしているのか
薬が生体内でどんな動きをするのかをモニタリングをすることも重要です。
この分野を扱う研究室です。
臨床系の研究室
臨床系の研究室は、病院や薬局などの実践的な場で活躍するためのトレーニングを行います。
薬学部生は実習で薬局や病院の場を経験しますが、それ以外に体験の場が多いです。
3回生の頃から臨床現場について学習しています。
将来は薬剤師として働きたいと考えている人には最適な研究室です。
どうやって決めるか?
これらの4つの中から自分に合うものを探すのは、簡単なようで難しいです。
最も効果的な方法は直感を信じることでしょう。
あなたがどれに一番ワクワクできるかが重要です。
研究室配属前に、実習があるはずです。
生物系、化学系、物理系などについて模擬実習をしたときに、どれが一番楽しかったかを考えてみてください。
私の場合には、有機化学をやっているときが一番楽しかったです。
一方で、生物系の実習をやっているときには全く楽しくなかったです。
物理系のときにはよく分からないまま終わってしまったので、結論として化学系に進みました。
どれが一番楽しいかを考えるといいと思います。
自分の将来

まずは自分の将来について考えてみてください。
あなたは将来、どんな職業に就きたいですか?
薬学部を出た後、就職する人が多い職業を簡単に紹介しましょう。
病院薬剤師
製薬企業・研究職
製薬企業・開発職
製薬企業・MR
CRO
MS
化学メーカー
化粧品メーカー
食品メーカー
一般的な薬学生の進路は上の職業です。
このほかにも、文系職に就いたり、IT関連に就職する人がいます。
この中に、あなたのなりたい職業はありますか?
あなたがなりたい職業によっても、入るべき研究室が変わってきます。
薬局薬剤師、病院薬剤師
あなたが薬局、病院薬剤師になりたいときにおすすめな研究室を紹介します。
おすすめの研究室は、臨床系に強いところがいいです。
薬局、病院実習以外にも、積極的に医療機関と連携を取り、プラスアルファで実習をしてくれる研究室があります。
臨床系の研究室に行けば、自然と医療人としての自覚が身につき、就職した後でも有利です。
臨床現場での体験があれば、面接のときの志望動機としても話せますよね。
製薬企業・研究職、開発職
製薬企業に入る時には、研究室が非常に重要になります。
特に研究職になろうと考えている場合には、研究室での実績や研究内容が問われます。
研究室であまり研究をしていなかったり、研究成果を残せていないと、競争に勝ち残れません。
研究職を目指している人は、本気で研究に取り組んでいる人が多いです。
また、募集枠が少ないことからも、就職を勝ち取るには熾烈な争いがあります。
もし、あなたがこれらの職業に就きたいのであれば、積極的に研究をしている研究室をおすすめします。
留年生が多かったり、論文をほとんど出していない研究室はできるだけ避けるべきです。
製薬企業・MR
MRになりたいときには、研究室は大きく関係してきません。
研究室での活動よりも、あなた自身の能力が問われます。
MRは製薬企業の商品を、薬局や病院の担当者に理解してもらうことが主な仕事です。
そのため、コミュニケーション能力が必須です。
分かりやすく伝える力
商品の魅力を伝える力
話し上手
言い換えればプレゼン能力ですね。
この力がないと、MRとしては不十分かもしれません。
また、初対面の人と仲良くなる力も必要です。
MRには対人能力が求められるので、就職活動を始める前にトレーニングをしておく必要があります。
プレゼン講座を受講したり、イベントに参加してスキルを磨いておきましょう。
CRO
CROは製薬企業の開発部門を受注する職種のことです。
仕事の内容としては、製薬企業の開発職とほぼ同じです。
新薬開発の段階において、臨床データをまとめたり、統計を取ったりしています。
CROについても研究室の差はほとんどありません。
研究室の成果よりも、個人の力が問われます。
特に重要なスキルとしては英語があります。
CROは海外の企業とやり取りをすることが多いため、英語を使えるといいでしょう。
また、統計を読み取る力やまとめる力、プレゼン力、データ探索力があるといいです。
その他の職業
その他、化粧品や化学メーカーではある程度研究室での実績が問われてきます。
化粧品メーカー、化学メーカーは開発部門、研究部門を分けていないこともあり、一括で募集されることが多いです。
その時に、あなたの研究実績がしっかりあると有利になります。
あなたが、壁にぶつかった時にどうやって克服したか、研究において工夫した点はどこかなどをしっかり説明できるといいですね。
研究室をしっかり選んで、自分の実績を残せるようなところに入るべきです。
一緒に行ける友達

続いて考えることは一緒に行く友達についてです。
研究室は3回生から6回生までを過ごします。
この期間で、一緒にいる同期のメンバーはかなり重要です。
お昼ご飯を食べたり、研究についてディスカッションしたりするときに同期の存在は心強いものです。
気が合わない同期がいると、研究室生活は一気につまらなくなります。
研究室配属前には、あなたと仲がいい友達にどの研究室に行くかを聞いておきましょう。
あなたが一番行きたいところに行くのが最高ですが、メンバーについてもしっかり考慮に入れておきましょう。
教授との相性

続いて大事なことは教授との相性です。
教授の評判が悪いときには注意が必要です。
先輩や周りの友達からしっかり情報を集めましょう。
評判の悪い教授は、あなたとも相性が悪い可能性が高いですよね。
また、研究室配属前に教授に話を聞きに行くことも大切です。
実際に話してみることで分かることも多いです。
アポを取って話を聞きに行ってみましょう。
私は3つの研究室の教授と実際に話してみて、いろいろ情報を集めました。
直接話すことで、教授の雰囲気を感じることができるので良いと思います。
どれくらい自由なのか?

研究室の自由度も重要です。
自由度を確かめる項目としては以下の3つがあります。
コアタイム
バイトやサークル
休日について
コアタイムについて
研究室にはコアタイムがあります。
コアタイムは研究室によって様々ですが、9時から18時、9時半から17時までなど多種多様です。
また、やることが終わったら帰ってもいいところや、コアタイム中は必ず在室しなくてはならないところなど様々です。
やることがないのに残っているのは、時間の無駄ですよね。
バイトやサークルについて
バイトやサークルについても研究室によって変わってきます。
全面的に禁止
学習に関係するバイトのみオッケー
完全自由
など様々です。
全面禁止の研究室だと、土日だけしかバイトができなくなります。
どれくらいバイトができるかについてもしっかりと情報を集めましょう。
休日について
休日についてもしっかり確認しておきましょう。
土曜日にも研究室があるところもあります。
また、長期休暇が短かったり、お盆休みしかなかったりするところがあります。
生物系の研究室では細胞の世話をしなくてはならないので、研究室に来なくてはなりません。
生物系の研究室を考えているなら、土日はないと思っていいでしょう。
研究室の雰囲気

研究室の雰囲気も大切です。
先輩方の雰囲気をしっかり見ておきましょう。
友達から情報を集めてもいいですし、研究室見学に行ってみましょう。
先輩同士のやり取りを見ることで、なんとなく雰囲気が分かるはずです。
雰囲気が悪かったり、仲が悪そうであればちょっと考え物ですよね。
また、教授と先輩の仲についてもチェックしましょう。
教授と仲が悪い生徒が多いとどうしても雰囲気が悪くなります。
研究室見学に行って、しっかり観察しましょう。
私は3研究室の見学に行きました。
噂だけでは分からない、先輩同士の関係を自分の目で確かめることができたのでよかったと思います。
論文の数

続いてのチェック項目は論文の数です。
論文の数はあまり見ないかもしれませんが、あなたが本気で研究をしたいと考えているなら重要な項目です。
論文の投稿が毎年あれば、研究に対して積極的な学生が多いことが分かりますよね。
一方で、直近3年でほとんど論文が出ていないときには注意が必要です。
あまり研究に力を入れていないので、実績が残せない可能性があります。
将来は研究職や開発職を考えているなら、論文数が多い研究室に行きましょう。
ドクターの人数

最後に見ておく項目は、ドクターの人数です。
ドクターに進学している人が多いほど、研究熱心な学生が多いことが分かります。
ドクターに進学すると、製薬企業の研究職や開発職に入りやすくなります。
そのため、あなたが製薬企業に入りたいときにはドクターの数を見ましょう。
ドクターの人数が少ないと、研究職、開発職志望の人が少ないことになります。
その分、就職についての話が聞けなかったり、教授の推薦がなかったりと色々と不利になります。
まとめ

さて、研究室選びについてまとめました。
研究室によって、あなたの将来的な進路がほとんど決まってきます。
そのためにも、しっかりと満足の行くような進路選択をしてください。
今回挙げた項目は、私が研究室を選ぶときに考えたことです。
研究室選びで悩んでいるなら、まずはこの記事の項目を参考にしてみてください。
私も研究室選びは迷いました。
何かしらのアドバイスができますし、相談に乗ることもできます。
力になりたいと思うので、困っているときには連絡してくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。