製薬企業の研究職の仕事と収入は?気になる情報と個人的感想

前回までに、調剤薬局ドラッグストア病院薬剤師と、3本連続で執筆している就活シリーズ。

今回は製薬企業についてです。

そして、さらにそこからフォーカスを絞って製薬企業の研究職について調べてきました。

製薬企業の概要→研究職の流れで記事が進んでいくので読んでいただけたら嬉しいです。



製薬企業の理念

早速ですが製薬企業に就職することを考えてみましょう。

製薬企業の主な役割としてはずばり、新薬開発です。

新薬の種を探し、それを薬として製品化できるように実験を繰り返し、今までは治らなかった病気を治せるようになったり、効果が出やすくなったりするような新薬を開発することにあります。

素晴らしい理念ですね。

新薬の登場を待っている患者さんのために研究開発を行い、治療効果の高い医薬品を届けることができれば、たった一つの薬で、たくさんの人の命を救うことができます。

私の製薬企業への憧れ

新薬開発ってめちゃめちゃかっこよくないですか?

私が薬学部を目指したのも「新薬開発」に憧れたからでした。

今まで治らなかった病気、ガンやアルツハイマー病、遺伝病を自分が創った薬で治すことができる、こんなにもかっこいいことはないと思います。

最初に憧れを持ったのは小学生の頃です。

そのまま中学生、高校生とその夢は持ち続け、薬学部がある大学に入ることをずっと目指してきました。

夢と現実のギャップ

浪人を経てやっとの思いで大学に入学すると、いきなり現実をたたきつけられます。

大学の授業で創薬研究を題材にしたものがあり、そこでは新薬が一つのシーズから生み出される確率は何十万分の一であること、開発までの年月は8~10年を要し、そのための費用も半端でないことを知らされました。

しかも、開発途中にはいくつもの障壁が待ち構えており、数々の新薬候補がドロップアウトしていくようです。

入学していきなりのプチ挫折。

あれ、新薬開発ってこんなに難しいんだ。

私の中では少し頑張ればどんどんできるもんだと思っていましたが、実際のところそこまで甘くなかったようです。

まあ、まだ1回生でしたので知らないことの方が多かったのでしょうがないかなとは思います。

その後しばらくはモチベーションを失いかけたときもありましたが、まあ自分がどうなるかわからないし、とりあえず勉強しとこう、と開き直り薬学部での勉強を続けました。

製薬企業の研究職のの仕事

それでは次に製薬企業の細かい仕事についてみていきましょう。

製薬企業には主に3種類の働き方があります。

①研究職
②開発職
③MR

今回は研究職が題材ですのでそれについて紹介していきます。

研究職っていったい何をしているのかと聞かれたら、真っ先に「実験」です。

研究とは計画を立てひたすらに実験を繰り返し、データを出して解析して、また計画を練り直してというサイクルの繰り返しです。

そして目的を達成する、それが研究です。

研究は主に化学系と生物系に分かれています。

化学系

化学系の研究者は、新薬のシーズ化合物の基礎の基礎から合成していきます。

そして、目的の化合物をできるだけ最短ルートで作ります。

有機化学の知識を総動員して反応をかけ、温度を調整し試薬を加えながら反応を進めて行きます。

まさに、大学の有機系の研究室の集大成です。

研究室で全合成をやっていたのであればほとんど変わらないそうです。

一方で変わるところと言えば、研究室では収率の高さが絶対条件でした。

しかし、製薬企業では1秒でも早く新薬開発を先に進めるために収率よりも反応が進むことに重点を置いています。

そのため、次の化合物ができさえすれば反応条件の検討することよりも、大スケールで無理やり大量に合成して次の反応へと進みます。

製薬企業は工場で大量に薬を生産する必要があるので、フラスコ内でできたことを大きな窯でできるようにしなければなりません。

生物系

生物系の研究者は薬理学、毒性学の観点から新薬について検討を行います。

有機系の人たちが持ち上げてきた新薬候補化合物を使い、マウスやラットの体内でどのような薬物動態になるかを実験します。

ここから、化合物の活性や毒性を試験するのです。

生物研究者が実験を行った結果から、良い成績のものは次のステップへと進むことができます。

しかし、たいていの化合物が期待の結果を得られず化学系の研究者のもとへと戻されます。

理由としては、生物活性がなかった、毒性が強すぎた、マウスの体内から全く排泄されない、などの理由があるようです。

確かに、抗がん剤を目指して化合物を作っているのに、がん細胞に対して全く活性がなければ意味ないですよね。

こんな感じで生物系研究者も仕事をこなしています。

研究職の気になる給料は??

研究職は薬学部の中でも花形の就職先です。

その分競争率が激しく、かなりの人がふるい落とされ残った精鋭たちが研究職の座をつかむことができるのです。

実際、製薬企業の研究職として就職できた人は卒業生のうちわずか1.8%のみです。

100人の中の1人になるってかなりの狭き門であることが分かりますよね。

人気のある研究職ですがその給料は、月に25万から30万だそうです。

もちろん、最初は他の薬学部の就職先と大差はありませんが、その後の伸びが期待できます。

30代、40代で順調にキャリアアップを積んでいけば1000万円の壁を超えることも高確率で可能です。

また、平均でも600万円から800万円の給料がもらえるようで、調剤薬局や病院薬剤師と比べてもかなり待遇は良いようです。




研究職にはどんな人が求められている?

研究職に就職できる人はかなり限られていると書きましたが、実際どんな人がなれるのでしょうか。

最近の流れでは最低でもマスター、スタンダードでドクターの資格が求められています。

企業は研究職に対して0から育成していくよりも、入社したとたんにすぐに会社の1院としてバリバリ働けるような即戦力が必要とされています。

4年生卒業の場合にはマスター、ドクターに進学してから就職するとかなり有利に就活を進めることができます。

また適切な人物像としては粘り強く実験に取り組める人です。

実験はたいていの場合うまくいきません。

ほとんどが失敗ばかりです。

その失敗が続いている状況においてもしっかりと着実に実験を続けていける粘り強さが必要です。

すぐにあきらめて投げ出してしまう人、同じ場所でずっと実験するのが無理な人、こういった人は研究職には向きませんね。

また、発想が豊かな人も重要です。

発想の転換をして、研究が行き詰った時に代案を出したり、誰も考え付かないようなアイデアを出せると一味違ったあなたをアピールできるでしょう。

研究職についての個人的意見(5回生のとき)

研究職は本当に私の憧れです。

幼いころからずっとこの場所を目指してきました。

しかし、最近になって私の目の前には大きな障壁が立ちはだかっているように感じました。

それはドクターコースと年齢についてです。

私は現在6年生のコースに所属しており、一浪しているので25歳の年に新卒です。

そして現段階で、私の中では製薬企業の研究職としてやっていきたいと考えています。

先ほども言った通り、研究職には即戦力が求められているので最低限ドクターの資格は必須なようです。

しかしです、6年生の私がドクターを獲得するまでには最低でも4年かかるんです。

これは6年制コースの宿命らしいのですが、実習などで時間が取られる分ドクターの年数を増やすことでそれを補おうという狙いがあるようです。

いや、4年てまじか。

25歳から改めてドクターコースに進学すると早くて社会に出るのは29歳です。

いや、新卒で29歳はちょっときつくない?
別に行けるんだろうけど、なんかイメージ的にきつくない?

もちろん大学側は奨励していますよ、6年制の薬学部生がドクターに進むことを。

いやでも、4年も拘束されるなんて、やっぱり気が引けますよね。

みなさんもちょっと考えてみてください。

「29歳で新卒」ってワードの破壊力まあまあやばくないですか?

「39歳で未婚、婚活中」みたいななんとなくやばい雰囲気が漂っていませんかね??

少なくともキラキラ感はないですよね。

もちろん、最終的には私がどうしたいのか、今後の人生設計をどうしたいかで変わってくるんですけど今のところ何とも言えません。

小さいころから夢だった製薬企業の研究者。

その目の前には4年間のドクターコース。

ちょっとまだ決めかねています。

ほんまにどうしたらええんやろ。

この悩みをもう1年以上も続けていて、未だに答えは出ていません。

研究室の先生には遅くても5回生の秋までには決めるように言われています。

うーん、タイムリミットが嫌でも近づいてくる。

幼いころの夢を取るのか、それとも安定した職業に落ち着くのか。

本当に悩みます。

私のポリシーとしては安定はあまり好きな言葉ではありません。

どちらかと言うと、変革、向上、チャレンジという言葉の方が好きです。

しかし、今回ばかりは25歳から29歳の貴重な4年間がかかっているんです。

4年間の拘束は長すぎると思います。

しかも、20代の4年間って割と重要だと思うんですよね。

それを狭い研究室の中で過ごしていていいのだろうか、もっと自分にとってプラスの道があるんじゃないかって感じてしまいます。

かと言って、薬学部を卒業して研究職に代わる新しい目標を立てろと言われても、なかなか見つかりません。

こんな感じで私は今すごく悩んでいます。

自分の4年間が天秤にかけられているのは良い気持ちがしませんよね。

研究職についての個人的意見(6回生のとき)

上の項目では私が5回生のときの切実な気持ちが書かれていました。

やはり4年のドクターコースはかなり重荷です。

現在、私は6回生を終え無事卒業することができました。

そして、ドクターコースに進学することを決めてきました。

研究職は私の憧れだし、4年かけてでもドクターの資格を取りたいと思ったんです。

もちろん、29歳で新卒ですが、逆に言えば研究職なら当たり前だそうです。

5回生のときは29歳の新卒というワードがなぜか引っかかって、心を決められずにいました。

しかし、それは一般的な職種から見た場合であり、研究職に就くならかなりスタンダードだそうです。

大学院を卒業してから海外に留学する人もいますし、大学でポス毒として残る人もいて、そこから研究職に就くとなれば29歳新卒は普通だそうです。

私がこれを聞いた時は、肩の荷が下りた気がして本当によかったです。

自分がそこまで気にする必要はないんだと思うことができました。

これを読んでいるあなたが、年齢的な問題でドクターに行くかを悩んでいるなら問題ないと思ってください。

私はもっと早く教えてほしかったですけど笑

まとめ

さて、今回は製薬企業の中の研究職についてでした。

やっぱり研究職になるのは全体の1.8%というだけあってたくさんのハードルを乗り越えなくてはならないということが分かりますね。

また、その先も自分の研究が必ずしも新薬に結びつかない場合もあるという研究職ですが、それでも私の憧れであることに変わりないです。

今後も研究職についてリサーチを進めながら、自分を納得させることができるきっかけをつかめたら自分の進路が決められると思います。

今回の記事を読んで意見や感想などがあればどんどん送ってください。

ぜひディスカッションしてみたいです。