現在私は4回生のビッグイベントであったOSCEとCBTを無事クリアし、来年の病院実習が始まるまでのちょっとした休息期にいます。
今までは学校の試験が忙しく、試験が終わればサークル活動があったりで、本当に忙しい日々が続いていました。
しかし、この時期学部の勉強もひと段落し、サークルも引退していることからけっこう自由な時間が多いんです。
そんなとき、ふと自分の将来について考えるようになりました。
今までもちょいちょいは考えていたのですが、今回のようにがっつり考えたことはありませんでした。
ちょうどいい機会でしたので、自分の調べたことや考えをヤクスタに残しておこうと考え、この記事を書いています。
今回は薬局について書きました。
薬局の仕事
まず始めに薬局ではどんな仕事をしているか見ていきましょう。
薬局のイメージはなんとなくあるけれども、実際のところ細かい仕事内容までは知らないっていう人も多いんじゃないですかね。
実際、私もこの記事を書くときに色々と調べましたが、こんな仕事もしてたんだ!と驚くことがありました!!
処方箋に従った調剤
これはもう薬局薬剤師さんの代名詞と言ってもいいでしょう。
患者さんからお医者さんに書いてもらった処方箋を預かりそれに従って薬を用意します。
1日の服用量と何日分の処方なのかを確かめて、棚から薬を選んできます。
薬局が混んでいるときはこの作業が大変らしく、複数の処方箋を見ながら、一度に大量の調剤をすることもあるそうです。
実際、私の父親が経営している薬局の見学をしていましたが、めちゃめちゃ大変そうでした。
服薬指導
薬剤師さんは薬を用意して患者さんにただ渡すだけではありません。
それだけだったらロボットだってできますよね。
渡す薬が何のお薬なのか、どれくらいの量をどうやって飲むのか、副作用の心配はあるのか、などを細かく説明していきます。
「こちらは風邪の症状を改善してくれるお薬で、のどの痛みを和らげ鼻水を抑えてくれるお薬です。1日に3回、朝昼晩飲んでください。副作用として眠くなることがありますので、そういった症状が見られた時にはすぐに医師や薬剤師に相談してください」
こんな感じです。
OSCEの実習でもこういう服薬指導の練習がありました。
しかし、一方で服薬指導っていらないんじゃないか、という声もあります。
いつも飲んでる薬を渡す時に、毎回同じ説明をされても意味がない、という患者さんからの意見をよく耳にします。
実際その通りですよね。
バカの一つ覚えのように毎回説明しているのでは、患者さんにとっても薬剤師さんにとっても時間の無駄です。
継続の薬なら説明を少し省略したり、患者さんの理解を確かめながら説明時間を短くするなどの工夫が必要なのかもしれないですね。
疑義紹介
これは薬剤師さんにしかできないお仕事です。
疑義紹介とは医師が書いた処方箋に対して、薬学的観点からミスを発見した際に医師に対して遠い合わせをする、という仕組みです。
疑義紹介の内容としては、医師の記入ミスについてという分かりやすいものから、薬の知識がないと気づけない高度なものまで様々です。
医師の記入ミスとは、1日5錠1日3回と書かれて、1回ごとに何錠ずつ飲めばいいかわからないとき、薬の規格が書かれていないとき、などには疑義紹介をします。
「本日の○○さんの処方箋についてお伺いいたします。□□錠50㎎、1日5錠1日3回となっていますが、どのように服用すればよろしいでしょうか?」って感じで疑義紹介します。
これは母が実際に疑義紹介しているときの様子を見ています。
けっこう下から行くんですよね。
やっぱり医師と薬剤師の間には見えない格差の様な物があるのかなと感じてしまいます。
ちなみにこれはOSCE実習でもやります!
また、薬の知識がないとわからない疑義紹介というのは、もっと難しいです。
例えば、薬の使い方が違ったり、併用禁忌の薬が同時に処方されていたり、配合変化の可能性がある薬が出ていたり、など本当に多種多様です。
絶対的な薬の知識がなければ気づくのは本当に困難ですよね。
授業でも出てきますが「こんなの気づけるの!?」という疑義紹介ばかりで、薬剤師の知識の深さには感動します。
逆に言えば、自分も薬剤師として薬局に立つときにはきちんとそのレベルまでできていないといけないわけなので、今後もしっかりと勉強していきたいと思います。
初回面談
初回面談とは薬局に初めて来る患者さんに対してインタビューを行います。
薬局は薬を渡すほかに、患者さんの健康を管理するという大きな使命があります。
そのため、患者さんの健康にかんする情報を本人から聞き取っておかなければなりません。
主に聞く内容としては、副作用歴や既往歴、アレルギーの有無、現在かかっている病院や歯医者、現在使っている薬、健康食品やサプリメントなどを質問します。
紙面上で済ませることもあれば、実際にスタッフが直接声をかけることもあります。
こういった情報から患者さんのカルテを作成し、健康増進のために役立てるのです。
例えば高血圧の既往歴がある人に対して、投与を控えるべき薬が処方されていた時には③の疑義紹介を行い、医師との連携を取りながら代わりの薬を用意します。
初回面談は患者さんが不要な副作用に巻き込まれないようにする重要な薬剤師の仕事なのです。
健康相談
薬局は薬を調剤するという側面がありますが、その一方で身近な健康相談所である必要があります。
医者に行ってまで相談する内容じゃないけど、ネットや本で調べても明確な答えが見つからない、そんな時薬局に相談しに行くという方は多いようです。
薬局には薬や健康管理のスペシャリストである薬剤師がいますので、彼らが患者さんの相談を受けます。
最近眠れないんだけどどうしたらいい?疲れやすくなってるけどなんでかしら?足が痛いからなんかいい薬はないか?などどんな質問でも薬剤師が受け付けてくれます。
薬剤師は街の人々に最も近い場所で健康相談を受けられるひとりであり、地域の健康を最前線で守っていく一人なのかもしれないですね。
患者さんへの健康講座
最近では薬局が受け身の姿勢から、自ら患者さんたちへ働きかける場面が増えているようです。
その一環として患者さんへの健康講座があります。
月に何回か平日のお昼や土日を利用して、患者さんへ簡単な健康講座を開きます。
内容は多種多様であり、日々の生活の健康にかかわること全般を扱います。
父親の薬局でも定期的に開催され地域の人々と仲良くなるきっかけ作りになっているらしいです。
また、定期的な健康講座を行っていることは健康サポート薬局になるための重要な評価項目に入るらしいです。
収入
色々な仕事が薬剤師には任されているのですね。
さて、薬剤師の仕事が分かったところで、私たちが就職するにあたってやっぱり気になるのは給料ですよね。
お金の話は少し話しにくいという風潮はありますが、それでもやっぱり気になりますよね。
お金がなければおいしい物も食べれないですし、好きな人とデートに行くこともできません。
やっぱりお金の話は避けて通れません。
はっきりとした数字は断定できませんが、相場は400万円から600万円だそうです。
だいたい月に30万越えの給料はもらえてるみたいですね。
20代の平均年収が346万円ですので50万円ほど高いようですね。
また、薬剤師の新卒となると24歳か25歳が多いでしょうからそれと比べると24歳が320万円、25歳が343万円なのでけっこう良い給料と言えますね。
男女別でみるとさらに差は大きくなるようですので、特に女性の皆さんが薬剤師になって働くのは大きなアドバンテージを得られるかもしれませんね。
一見すると調剤薬局の給料は良いようですが、年齢を重ねる従って年代別の平均年収に追い抜かれていくというのもまた事実です。
薬剤師の年収の伸びはそこまで大きくなく、40代、50代という中堅世代になっても700万円が限界なようです。
もちろん十分に高い方ですが、周りの職種の幹部や役員と比べると見劣りしてしまいます。
若いときは薬局勤めもいいかもしれませんが、年を取るにつれて割に合わない感じが出てくるかもしれません。
個人的意見
ちょっとした個人的な感想を言わせてください。
もちろん、この感想は今現在の僕が思っていることですので、今後変わるかもしれません。
また、不快に思う人もいるかもしれませんが、一薬学部生が思っている率直な意見です。
調剤薬局を新卒になっていきなりやりたいか、と聞かれた時私ははっきりと「いいえ」と答えると思います。
その理由を3つ挙げます。
①コミュニティの小ささ
②やりがいの少なさ
③給料の伸び率の小ささ
①コミュニティの小ささ
新卒の時代、20代や30代の時期は自分の価値観を広げるうえで最も重要な年代であると思っています。
価値観を広げるとは、自分の知らない場所に行き、自分の知らない人と出会い、交流し、刺激し合うことで広げられるのではないかと思います。
私は2回生の頃にタイに行きましたが、そこには様々な人がいてかなりの刺激を受けました。
たった2週間しか行っていませんが、自分の中で多少なりとも変化がありました。
これは20代、30代の時期はこれだけ多感であり柔軟であるということです。
その多感な時期に薬局と言う狭いコミュニティにいていいのか、と率直に思ってしまいます。
薬局は大きくてもせいぜい20人くらいです。
先輩の薬剤師さんと事務の方がたくさんいて、大きめの薬局に勤めてやっと20人です。
小さな薬局ともなれば10人前後、もっと小さいところになれば6,7人です。
そんな狭いコミュニティで何の刺激を受けろと言うのでしょう。
中にはスーパー薬剤師さんがいるかもしれません。
しかし、たいていの場合は普通の薬剤師さんで、自分が感じ取れる刺激もそこまで高いとは思えません。
また、海外に出張することもなければ、全国を飛び回ることもないでしょう。
就職した瞬間に狭い薬局で働くのです。
どうもこれはもったいない気がしてなりません。
もちろん、薬局は患者さんにとってなくてはならない存在ですし、日本には確実に必要な施設の一つだと思います。
しかし、大学に6年間通って、高い学費を払って就職した先が薬局、と言うのは何とも言えない「もったいない」感じがしてなりません。
もっと広いコミュニティで、もっと多種多様な人種と、多種多様な仲間と刺激し合いながら20代、30代を過ごしたい、私はそう考えています。
②やりがいの少なさ
これは薬局の業務を本気で取り組んだことがない、ということを先に言っておきます。
それでも、薬局で扱う仕事の量はそこまでたくさんあるわけではなく、ルーティーンがほとんどで、慣れれば慣れるだけやりがいが失われてしまう気がします。
最初は自分が知らない薬を知り、棚の場所を覚え、薬の作用を暗記して、副作用を学んで、と覚えることは山積みです。
患者さんの病気も覚えなくてはならないし、よく使う薬も知っておいて説明できるように、何か聞かれたら答えられるようにしておかなければなりません。
しかしです、これも最初の2か月で終わってしまう気がするのです。
就職して2が月で、その薬局で学ぶことはありません。
あとは覚えたことをどれだけ正確に早くこなせるか、に重点が移っていきます。
これって、すごく寂しくないですか。
自分の能力をもっと使うと思っていたのに、2か月でもう覚えることはないです、あとは効率を重視してくださいと言われる、こんな状況私は耐えられないと思います。
もちろん、2か月で覚えることは終わる、というのは私の完全な空想でしかないですが、薬局を見学するたびにそう感じてしまいます。
③給料の伸び率の小ささ
最後の問題はやはりお金の問題です。
お金の問題をあまり書いてしまうのはどうしても気が引けます。
しかし、日本は結局お金がなければ何もできません。
保険料だって払えないし、教育費だって結局はお金です。
子供が生まれれば税金を取られるし、車を買えば税金を取られるし、給料をもらうだけでも税金が取られます。
いったいいくらあればいいのかわかったものではない。
そこであえて書いてしまいましょう。
どうしても給料はたくさんほしいです。貪欲なんでしょうか。
同世代の若者には大企業に入り出世を狙う人や、司法試験に合格し30代で法律事務所を開こうと考えている人など色んな人がいます。
1000万円プレーヤーという言葉も出てくるように、年収1000万円を超えるというのは一つの憧れでもあります。
私もできることなら1000万円プレーヤーになれるような道を歩みたい。
もしなれるのであれば努力だって惜しみません。
しかし、薬剤師の場合、努力だけでは1000万は物理的に無理なようです。
40代、50代になっても700万円で頭打ちになってしまうという薬剤師は魅力が半減してしまいます。
結局調剤薬局は?
結局のところ調剤薬局は日本に必要です。
しかし、私からすると薬学部に6年間通い、新卒で薬局に就職するのはどうももったいない気がしてなりません。
別に就職する人を批判するつもりは全くありませんが、薬学部のつらさが薬局に就職することで報われないような気がしてならないのです。
薬学部に6年間通い、無事に卒業して免許を取ったのであればもっと欲を出していいのではないか、そう感じてしまうのです。