今日は糖尿病の基本知識と、その治療薬について勉強していきましょう。
糖尿病は成人病の一つで、近年糖尿病患者が増加しおり国をあげて患者数減少を目指して取り組みが行われています。
CBTや薬剤師国家試験でよく出てくるので、しっかり勉強しておきましょう。
糖尿病の種類
糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類があります。
1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)はインスリンの欠乏によって発症します。
一般的に先天性である場合が多く、生まれつきインスリンの絶対量が少なかったり、適切にインスリン生産ができていない場合があります。
若年者に後発し、インスリンを生産する役割を持つ膵臓のランゲルハンス島β細胞が炎症性病変によって消失している状態です。
基本的な治療方針としてはインスリン投与が行われます。
インスリン製剤を使い、インスリンを直接体内に投与することで対症療法的に治療していきます。
よく出てくるのはインスリン注射剤ですね。
2型糖尿病はインスリンの作用が相対的に減弱し適切な血糖分解が行われない状態をさしています。
インスリン分泌の仕組み

膵β細胞からのインスリン分泌仕組みについて説明していきます。
インスリン分泌には膵β細胞の電位依存性カルシウムチャネルの開口と、細胞内でのカルシウムイオン動員が関わります。
β細胞内の膜電位は、ATP依存性のカリウムポンプによって抑制的に調整されていることから、細胞内のATPが増加するとポンプが抑制されカリウムイオン濃度が上昇し、膜電位低下を引き起こす仕組みです。
ちょっとややこしいですけど。
そして細胞内で脱分極するので、カルシウムイオンが流入してインスリンが分泌される流れです。
食事の後には血糖値が上昇します。
血糖値の上昇が合図となり、グルコーストランスポーターが働きβ細胞内へのグルコース流入が促進されます。
細胞内グルコースの代謝が促進すると、ATP濃度が増加する結果、ATP依存性カリウムチャネルが働き結果的にインスリン分泌が進むのです。
糖尿病治療薬を勉強しよう
主な糖尿病治療薬を勉強していきましょう。
SU剤(スルホニルウレア剤)
SU剤の作用機序
SU剤は、ATP依存性カリウムチャネルに対して働き、ポンプ部分のたんぱく質に結合します。
そして、カリウムポンプを阻害することで、細胞内カリウム濃度が上昇させて、インスリン分泌を刺激します。
主な薬物名
グリベンクラミド
グリメピリド
「~iド」と覚えておきましょう。
ビグアナイド系薬
ビグアナイド系薬の作用機序
末梢組織でのグルコース取り込み、代謝を促進することで、糖新生を抑制することで血糖値を降下させます。
糖新生をとにかくさせないことがポイントです。
主なビグアナイド系薬
メトホルミン
ブホルミン
インスリン抵抗性改善薬
インスリン抵抗性改善薬の作用機序
ピオグリタゾンは従来のSU剤と異なり、血液中のインスリン濃度を増加させることなく血糖を降下させるのでインスリン抵抗改善薬と呼ばれています。
作用機序は、標的細胞の核内受容体型転写因子PPARγに結合し、アディポネクチンの分泌増加させるためである。
最近ではピオグリタゾンとSU剤(グリメピリド)の合剤ソニアスとメトホルミンとの合剤メタクトが発売されています。
主なインスリン抵抗性改善薬
ピオグリタゾン
αグルコシダーゼ阻害薬
αグルコシダーゼ阻害薬の作用機序
αグルコシターゼは消化管粘膜上のデンプン、ショ糖を体内吸収可能な単棟にまで分解します。
このαグルコシダーゼ阻害薬はこの酵素をを阻害し、食後のグルコース吸収速度を減少させ、血糖値上昇を抑えます。
主なαグルコシダーゼ阻害薬
アカルボース
ボグリボース
アカルボースですよ。
アルカボースではないです。
私はアルカボースだと思ってました。
最近ではボグリボースとインスリン分泌促進薬のミチグリニドの合剤グルベスがある。
GLP-1受容体刺激薬
GLP-1とはGlucagon-like Peptide-1の略称です。
主な役割は血糖依存的に膵臓β細胞を刺激しインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖を正常化します。
GLP-1受容体刺激薬はGLP-1受容体に対してアゴニストとして働き、インスリン分泌を促進させその薬効を示します。
主なGLP-1受容体刺激薬
リラグルチド
エキセナチド
リキシセナチド
DPP-4阻害薬
DPP-4という酵素はGLP-1とGIPを分解してしまいます。
体内のGLP-1とGIPが減ってしまうと、膵臓β細胞が適切に刺激されず、インスリン分泌が減少し、血糖値がコントロールできなくなってしまいます。
DPP-4阻害薬はこのDPP-4の働きを阻害し、体内GLP-1、GIPを守ります。
GLP-1、GIPからすればDPP-4阻害薬は自分たちを守ってくれる王子様の様な存在でしょう。
主なDPP-4阻害
シタグリプチン
ビルダグリプチン
リナグリプチン
アログリプチン
Na依存的グルコース・トランスポーター(SGLT)2阻害薬
SGLTはナトリウムとグルコースを共輸送するトランスポーターです。
その中でもSGLT2は近位曲尿細管にこう発言していて、尿細管でのグルコース再吸収に大きくかかわっています。
SGLT2阻害薬の作用機序
グルコースは尿細管のSGKT2を介して血液中に再吸収されています。
このトランスポーターを阻害することによって、血中のグルコース濃度を下げます。
主なSGLT2阻害薬
イプラグリフロジン
ダパグリフロジン
トホグリフロジン