脂質異常症の原因

脂質異常症という言葉を知っていますか?
少し前までは「高脂血症」という名前でしたが、最近になって呼び方が変わってきました。

脂質異常症は生活習慣病の1つであり、日本国内でも非常にたくさんの患者さんがいます。

今回は脂質異常症の原因と診断基準についてまとめました。



脂質異常症の近況

脂質異常症の患者数は平成26年度の患者調査の結果、206万人にまで増加しています。男女の内訳は、男性が59.6万人、女性が146.5万人で、女性の患者数が非常に多い結果になっています。
年々患者数は増えており、平成26年の調査で初めて200万人を突破しました。また、入院する患者はほとんどおらず、多くの人が外来で定期的に通院して治療を受けています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/11/index.html

LDL、HDLコレステロールの働き

LDLコレステロールやHDLコレステロールという単語は知っているでしょうか。

簡単に言うと、血管内を移動しコレステロールを運搬する働きがあります。

コレステロールは体内でホルモンやビタミンの合成、消化酵素の原料、細胞外膜の構成などに使われ非常に重要な物質の一つです。

コレステロールはテレビや雑誌で取り上げることがあり、悪いイメージがあるかもしれませんが、実際は体内になくてなりません。

コレステロールは肝臓に集められ、中性脂肪と複合体を形成し、血管へ送り出されます。

これが酵素で変換されることでLDLコレステロールが作られているんです。。

LDLコレステロールは各組織へ必要な分だけコレステロールを運び、役目を終えると肝臓で吸収され分解されます。

また、HDLコレステロールは各組織で使われずに余ったコレステロールを回収し、肝臓に戻します。

LDLコレステロールは運び役、HDLコレステロールは回収役と覚えるといいです。

LDLやHDLは、適正な量であれば非常に役に立ちます。
しかし、バランスが崩れ始めると、先ほどの基準に引っかかってしまい、脂質異常症と診断されます。

脂質異常症の診断基準

まず始めに、脂質異常症の診断基準を確認します。

脂質異常症を診断する際には、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の3種類の物質の血中濃度を調べます。

診断基準は以下の様になっています。

LDLコレステロール:140 mg/dL以上
HDLコレステロール:40 mg/dL未満
中性脂肪:150 mg/dL以上

http://www.sageru.jp/documents/pfizer_sageru-jp_cholesterolemia.pdf

これらの値に加えて、LDLとHDLの比も重要です。
LH比とも呼ばれており、「LDL/HDL>2」になると注意が必要になります。

例えば、LDL:130、HDL:45でどちらの値も基準値内だとしても、LDL/HDL=2.9になります。

基準値の2を超えていますので、注意が必要になってきます。
この値が2.5を超えだすと、動脈硬化のリスクが高まります。

http://www.kago-ksr.or.jp/wpDir/wp-content/pdf/health02/info201008.pdf

値が悪いと、定期健診で医者から注意があり、薬剤師さんにも言われることがあるんです。

私が薬局実習に行っていたところでは、積極的に患者さんの血液検査データを見せてもらい、患者さんと一緒にチェックしていました。

脂質異常症の原因

次に、脂質異常症の原因について説明していきます。

考えられる原因としては以下の2つが挙げられます。

大きく分けて先天的な原因と後天的なものがあります。

体質的にLDL受容体の発現量が少ない

一つ目の原因として遺伝的な問題があります。

本来は肝臓にはLDL受容体が存在し、役目を終えたLDLコレステロールを回収し、血管中のLDL量を一定に保ちます。

しかし、遺伝的にこの受容体が少ない場合には、血中からLDLが取り除かれず、濃度が高いままになってしまい、脂質異常症として診断されます。

このような遺伝的脂質異常症を発症するのは、生後間もない新生児、乳幼児が多くなります。

高LDLコレステロール状態が続くと、動脈硬化症や高血圧、狭心症などが誘発され、そのまま死亡してしまうケースもあります。

また、成人した後も、動脈硬化症が発端となる心筋梗塞や脳梗塞、くも膜下出血などの血管異常症によって亡くなる事例も多くあります。

主な対策としては、脂質や糖質を制限した食事を取り、細かくコレステロール値を観察する必要があります。

子供に遺伝的脂質異常症が発症していることが分かった場合には、家族が一体となって、食事面や運動面などを補助することが必要になります。
http://www.j-athero.org/publications/pdf/FH_G_P.pdf

過剰量のコレステロールや脂質を摂取している

2つ目の原因としては糖やコレステロールなどの摂取量が多い、後天的な生活習慣の乱れによるものです。

糖の摂取量が多いと、解糖系が過剰に回り、必要以上のエネルギーが供給されます。

しかし、供給量に対して消費量が少なければエネルギーが余ってしまいますので、そのエネルギーは中性脂肪の合成のために使われてしまいます。

また、コレステロールの摂取量が多いと、肝臓に過剰なコレステロールが集められ、血管にも必要以上のコレステロールがたまりやすくなります。

コレステロールは脂物に多く含まれており、から揚げなどの揚げ物が好きな場合には注意が必要ですね。

運動不足は、エネルギーを消費する機会が減っている状態であることから、体内にエネルギーが余りやすくなり、先ほどと同様に中性脂肪の合成が進みます。

中性脂肪は空腹時に、エネルギー供給源として使われますが、体内に溜まり過ぎれば脂質異常症につながります。

http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/82-07-03.pdf
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/100910_3.pdf
以上のような生活習慣の乱れが、もう一つの脂質異常症の原因になります。

脂質異常症の改善のためには?

主な改善方法としては、食事面に注意を払い、運動習慣をつけることが重要になります。
食事面で注意することは5個あります。

カロリーオーバーの食事をしない
1回ごとの食事でもカロリーを意識する
食物繊維を摂取する
青魚を食べる
大豆を食べる

カロリーオーバーの食事は、炭水化物や糖類を過剰に取ることにつながり、中性脂肪を余分にためることになります。

また、過剰な当分は高血糖を誘発し、糖尿病にもなる可能性があります。糖尿病はインスリン感受性を低くしてしまいます。

インスリンはLDLコレステロールの働きを促進させる酵素に働き、酵素活性を高めますが、インスリン感受性が低くなることで酵素が弱くなり、結果的にLDLコレステロールが血管内に滞留し、脂質異常症につながります。

また、朝ご飯を食べていないから、昼ご飯にたくさん食べるということは、結果的に昼食後の血糖値やコレステロール値が上昇しますので、脂質異常症につながります。

食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、便として排泄する働きがると言われており、食事の前に野菜を食べておくと効果があります。

青魚に含まれるDHAやEPAは、インスリン感受性を高め、脂質の酸化的分解を促進することから、食事にとりいれるといいでしょう。

まとめ

今回は脂質異常症についてまとめました。

脂質異常症は生活習慣病の1つであり、ほおっておくと様々な病気の引き金になります。

しかし、脂質異常症は早めからの対策をすることで改善が期待できる病気です。

まずは自分のコレステロールの値を把握し、食生活、運動習慣について見直してみましょう。