Gタンパク質受容体と細胞内情報伝達系の基本

細胞内情報伝達機構とは?

神経終末から放出された、神経伝達物質や人体に投与された薬物は、細胞内情報伝達系によって、生体の生理反応を誘発している。

細胞内情報伝達系とは、神経伝達物質や薬物が、細胞の受容体に結合することで発動し、細胞内に情報を伝え、そこからさらに特定のセカンドメッセンジャーが生成される。
そのセカンドメッセンジャーが情報を受け取り、別の器官へ情報を伝達し、最終的に生理反応を起こすまでの流れを指している。

図で示すと以下の通りになる。

主な細胞内情報伝達系

薬物の作用発現に関係する細胞内情報伝達系で最も重要なものは、Gタンパク質受容体を介した伝達系である。

大きく分けて以下の2種類がある。

主なGタンパク質伝達系ホスホリパーゼC
アデニル酸シクラーゼ

ホスホリパーゼCを介する伝達系

まず始めにホスホリパーゼCを介する伝達系について説明していく。

ホスホリパーゼC系とはGタンパクの内、Gqタンパク質受容体が活性化されることで、情報が伝達される。

以下に有名なホスホリパーゼC系の受容体をあげる。

代表的なGqタンパク質受容体アドレナリンα1受容体
ムスカリンM1、M3受容体
ヒスタミンH1受容体
アンギオテンシンⅡAT1受容体
トロンボキサンA2受容体
セロトニン5-HT2受容体
ブラジキニン受容体
ロイコトリエン受容体

ホスホリパーゼC系の情報伝達経路

次に、ホスホリパーゼC系の情報伝達経路について説明する。

例:α1受容体にノルアドレナリンが結合した場合①アゴニストが受容体に結合する
②Gqタンパク質の活性化
③セカンドメッセンジャーである、ホスホリパーゼCの産生が活性化される
④ホスホリパーゼCはホスファチジルイノシトールリン酸(PIP2)をジアシルグリセロールとイノシトール三リン酸(IP3)への分解反応を促進
⑤合成されたIP3はCa2+の遊離と細胞外からのCa2+の流入を促進する
⑥ジアシルグリセロールがプロテインキナーゼCを活性化する
⑦プロテインキナーゼによってタンパク質がリン酸化される
⑧Ca2+の増加と機能タンパク質のリン酸化によって血管平滑筋が収縮する

α1受容体を介したGタンパク質受容体による神経伝達の様子を示した。

ここで重要なのはセカンドメッセンジャーのジアシルグリセロールとイノシトールリン酸が生成されて、生理反応が誘発されるところである。

また、どの受容体が何の生理反応を起こすかもしっかり覚えておくとよい。

アデニル酸シクラーゼを介する情報伝達系

アデニル酸シクラーゼを介する情報伝達系は2種類存在し、アデニル酸シクラーゼを促進するのと、抑制する2つがある。

促進する方はGsタンパク質受容体を経由し、抑制する方はGiタンパク質受容体を経由している。

代表的なGsタンパク質受容体アドレナリンβ1、β2受容体
ドパミンD1受容体
ヒスタミンH2受容体
セロトニン5-HT4受容体
グルカゴン受容体
アデノシンA2受容体

この中でよく出てくるのはアドレナリンβ1、β2受容体、H2受容体である。
H2受容体は胃壁細胞に存在し、胃酸分泌とペプシンの活性を調節している。

有名なH2ブロッカーとしてシメチジンやラニチジン、ファモチジンなどがある。

代表的なGiタンパク質受容体アドレナリンα2受容体
ドパミンD2受容体
ムスカリンM2受容体
セロトニン5-HT1受容体
アデノシンA1受容体
GABAB受容体

有名なGiタンパク質受容体としては、ドパミンD2受容体がある。
ドパミン受容体は中枢神経に主に存在しており、とくに延髄にある嘔吐中枢に存在する。

ドパミンD2受容体が活性化されることによって、嘔吐中枢に刺激が走り、吐き気を催す。

特に、抗がん剤などの副作用によって、嘔吐中枢が刺激されることで吐き気、悪心などを引き起こす。

ドパミンD2受容体遮断薬は制吐剤として用いられ、副作用防止のために使われている。



アデニル酸シクラーゼ系の情報伝達経路

次にアデニル酸シクラーゼ系の情報伝達経路について説明する。

Gsタンパク質受容体を介するアデニル酸シクラーゼ活性促進系

まずは、Gsタンパク質受容体を介するアデニル酸シクラーゼ活性促進系から。

例:β受容体にアドレナリンが結合した場合①アゴニストがGsタンパク質に結合
②Gsタンパク質が活性化される
③アデニル酸シクラーゼが活性化される
④アデニル酸シクラーゼはATPからセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMP(cAMP)の産生を促進する
⑤細胞内cAMPが増加することから、プロテインキナーゼAが活性化される
⑥プロテインキナーゼAが活性化されることで細胞内機能タンパク質がリン酸化される
⑦生理反応誘発、心機能増大作用

セカンドメッセンジャーであるcAMPが産生されることで、プロテインキナーゼAが増え、リン酸化が進むことによって生理反応が誘発されている。
ここでもセカンドメッセンジャーの存在が重要である。

Giタンパク質受容体を介するアデニル酸シクラーゼ活性抑制系

Giタンパク質が活性化されることによって、アデニル酸シクラーゼの活性が抑制されることで、付随する生理反応が誘発される。

例:α2受容体にアドレナリンが結合した場合①アゴニストがGiタンパク質に結合する
②Giタンパク質が活性化される
③アデニル酸シクラーゼの活性が抑制される
④細胞内cAMP現象によって、プロテインキナーゼA活性が阻害される
⑤プロテインキナーゼA活性阻害によって、細胞内機能タンパク質がリン酸化されなくなる
⑥生理作用の誘発、ノルアドレナリン遊離抑制、血圧低下など

ここでは、アデニル酸シクラーゼが抑制されていることに注目しよう。
Gsタンパク質では活性化されたのに対し、Giタンパク質では抑制されるのが重要である。

アデニル酸シクラーゼ系はアデニル酸シクラーゼを活性化する系と抑制する系の2種類が存在しているので、しっかりと区別しておこう。

まとめ

細胞内情報伝達系において、主に活用されているのはGタンパク質を介した情報のやりとりである。

Gタンパク質受容体は主に3種類あり、それぞれによって効果が異なっている。

主なGタンパク質受容体Gqタンパク質受容体:ホスホリパーゼCを活性化する
Gsタンパク質受容体:アデニル酸シクラーゼを活性化する
Giタンパク質受容体:アデニル酸シクラーゼを抑制する

この3つのGタンパク質はしっかり覚えよう。
そして、それぞれに対応する受容体を覚えておこう。