悪玉コレステロールという言葉は皆さん、知っていますか。
悪玉コレステロールは「悪」と名前に入っているように、悪いものであるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
今回はそのような疑問を解決するために、悪玉コレステロールに焦点を絞って記事を書いていきたいと思います。
目次
悪玉コレステロールの構造
初めに悪玉コレステロールの構造について説明します。
悪玉コレステロールは学術的にはLDLコレステロールと呼ばれおり、正しく日本語に訳すと「低密度リポタンパク質」となります。
LDLコレステロールはコレステロールとリポタンパク質の複合体であり、肝臓で合成されています。
コレステロールは親油性の物質ですから血液にはなかなか溶けにくいです。
そのためリポタンパク質と呼ばれる両親媒性の物質と混ざることで、コレステロールは血液中を移動できるようになります。
※両親媒性…油性の溶媒にも水性の溶媒にもどちらにも溶けることができる物質
コレステロールを運搬する理由
ここで、コレステロールをなぜ血管を介して運ぶ必要があるのでしょうか。
コレステロールの一般的なイメージは、「コレステロールを減らしましょう」「コレステロールは危険」:という広告や記事があるようにあまりイメージがないと思います。
しかし、結論から言いますと、コレステロールを適正な量に保っている限りでは、非常に重要な物質であると言えます。
コレステロールの働き
コレステロールは体の中で主に3つの役割を担っています。
①ホルモンの合成
②消化酵素の合成
③細胞膜の形成
コレステロールから合成される代表的なホルモンは性ホルモンなどのエストロゲンやエストらジオールがあります。
消化酵素は十二指腸で合成される胆汁の主要成分の胆汁酸を合成します。
細胞膜の表面は、神経伝達物質やイオンなどを輸送しつつも、水の流入を防がなければならず、ある程度の柔軟性と浸透性が必要になり、コレステロールから合成される細胞膜が欠かせません。
これらのことから、コレステロールは私たちの体に非常に重要な物質であると言えます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
悪玉コレステロールの働き
さて、悪玉コレステロールの働きについて次は説明していきます。
悪玉コレステロールは肝臓内でコレステロールとリポタンパク質が合成されることで作られ、血中へ送り出されます。
血中に送り出された悪玉コレステロールは、体内の各組織へコレステロールを運搬しています。
また、コレステロールの運搬を終えた悪玉コレステロールは肝臓に発現している、LDL受容体によって捕獲され、血中から取り除かれ、血中LDLコレステロール濃度が一定に保たれています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-072.html
悪玉コレステロールが増えすぎると・・・?
では、悪玉コレステロールの血中量が崩れてしまった場合にはどうなるのでしょうか。
悪玉コレステロールの基準値は140㎎/dL以下が適正値であると言われておりこの値を超えてしまうと脂質異常症として診断されます。
悪玉コレステロールが増加してしまう原因としては、主に食生活の乱れがあります。
炭水化物やアルコールを過剰に摂取すると、中性脂肪や糖の供給量が増え、結果的に悪玉コレステロールが大量に作られてしまいます。
脂質異常症による合併症の危険
また、糖分接種が多い場合、糖尿病の様な状態になりやすく、身体のインスリン感受性が減少します。
悪玉コレステロールはある酵素によって活性化されていますが、この酵素はさらにインスリンによって活性化されています。
酵素のインスリン感受性が減少することで、酵素の働きが鈍くなり、結果的に悪玉コレステロールの働きが悪くなり、血管中に滞留しやすくなると言われています。
LDLコレステロールが血管内に滞留していると、血管壁にコレステロールが沈着しやすくなります。
コレステロールが血管壁に沈着しますと、血管内部組織に入り込み、プラークを形成します。プラークは血管の柔軟性を失わせ動脈硬化症を引き起こし、高血圧や狭心症も誘発します。
また、プラーク部分から出血するとかさぶたとして血管表面に血栓ができます。血栓は高血圧状態の血流にさらされますので、血栓が剥がれやすくなっています。
血栓が一度剥がれると、血管を流れ細い血管に詰まると脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害につながり、致命的な疾患になります。
このように、悪玉コレステロールの増加は、身体にとって様々な合併症を引き起こす可能性があると言えるのです。
日々の生活でできること
では、いったい悪玉コレステロールを適正に保つためにはどうしたらいいのでしょうか。
主な対策としては、食事面から改善できると言えます。
まず始めに食事の適正カロリーを守りましょう。適正なカロリー摂取範囲は1800~2200kcalと言われています。
また、朝ご飯を食べていないからと言って、昼ごはんに朝ご飯の分を食べてしまうと、食事後の糖分や脂質量が増加してしまいますので、毎食毎食、適正な範囲のカロリーを摂取することが必要になります。
食事の内容には、食物繊維や青魚を取り入れましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑制し、青魚に含まれるDHAやEPAはインスリン感受性を高め、脂肪の酸化的分解を促進し、脂質異常症の予防につながります。
適切な食事をして毎日を楽しく過ごしましょう。