阪大生が教える阪大二次化学

ここでは阪大二次化学の勉強方法を紹介していきます。
阪大化学は国公立の化学ということもあり、非常に難易度が高いことからしっかりとした勉強が必要になります。

しかし、奇抜な問題や重箱の隅をつつくようないやらしい問題が出る訳ではなく、基本的な化学を応用させた問題が出ています。

従って、地道な日々の化学の勉強がしっかりと成果となって表れやすいと言えるでしょう。

それでは私の経験則に基づいた勉強法をご紹介します。



阪大の化学分野の範囲と解答方式について

阪大の化学では、理論、無機、有機の3種類から選ばれ、大きい問題が4つある形式で出題されています。

阪大では物理と化学の2つを合わせて150分なので、全ての問題を完璧に解ききるのはかなりの至難の業です。
まずは自分ができる問題から解いていくのがベストでしょう。

解答形式としては記述、計算、論述がほとんどであり、私立薬学部に見られるような選択肢付の問題はほとんどないです。

あったとしても全体を通して1~2問程度、しかも、阪大を受験するレベルなら確実に正解してくるので全く差がつかないと考えるべきですね。

最も多い出題形式は化学反応式や構造式などを求めたり、理由の説明をしたり、計算過程を書かせたりする問題が多いです。

ただ答えを出せばいいのではなく、その答えがどうやって出てきたのか、自分がどのような道筋で答えにたどり着いたのかをしっかりと記述する必要があります。

私立薬学部の対策だけをやっていると、この計算過程を的確にわかりやすく記述する過程が練習できないので、国公立化学用の勉強をするべきです。

また、実験装置についての出題もあり、実験の意味、目的、現象の理由などについても理解を深めておく必要がありますね。

記述問題についてですが、マス目付の字数制限があるタイプと、白紙の字数無制限のタイプの2種類があります。

字数制限がある場合には適切な文量を作成しなくてはなりません。

少なすぎても印象が悪いですし、多すぎたら採点してもらえません。

20文字制限なら16文字以上20文字以下で答えましょう。一般的には8割と言われていますね。

一方で、白紙の字数無制限のタイプでも注意が必要です。

文字を何文字書いてもいいといって、白紙に文字を敷き詰めると採点官からの印象は悪くなります。

採点官が採点しようと思わなければ、せっかくあっていても、バツになってしまうので、適切な文量で解答しましょう。

読みやすい文字の大きさと量をしっかり考えるといいですね。

それでは分野ごとの特徴とその勉強方法を見ていきましょう。

化学で苦手な人が多い理論分野

まず最初の範囲は理論化学の範囲です。

理論化学では物質の構成、分子の結合、物質の3態、熱力学、化学平衡、酸塩基反応、酸化還元反応などについて学びます。

化学の基礎の基礎である、物質の構成では原子はどんな構造をしているか、物質に関する物理法則について扱います。

また、粒子同士の結合ではイオン結合、共有結合、金属結合、分子間力などについても学びます。

特に理論化学で難しいと言われているのは、熱力学や酸塩基反応、酸化還元反応などです。

難しい理由としては、暗記だけでなく化学反応式を元にしてモル数や気体の体積などを考えながら計算をする必要が出てくるためです。

化学反応式は必ず書けなければならないですし、モル数についての理解も必要です。

化学で最初に躓く人の多くはこの計算が分からなくなってしまいます。

水素と酸素が反応するときの化学反応式を書きなさいと言われて、みなさんはすぐにできますか?

「2H2 + O2 → 2H2O」

この化学反応式がすぐに出てこないと阪大の化学は厳しいです。
いや、センター試験ですら厳しいです。

さらにここから派生して、「亜鉛1モルに硫酸と反応させたとき、何リットルの気体が発生するか?」という問題はどうでしょう。

これは聞き方を少し難しくしています。

まずは化学反応式から。

Zn + H2SO4 → ZnSO4 + H2

上の化学反応式から1モルの亜鉛と硫酸が反応して、1モルの硫酸亜鉛と水素が発生すると分かります。

ここで、発生する気体は1モルの水素とわかります。

1モルの気体の体積は22.4Lなので、答えは22.4Lになります。

この問題も解けなくてはならない初心者問題です。

しかし、この2つの問題をベースとしてどんどん新しい要素が追加されていき、徐々に理論化学の計算問題が難しくなっていきます。
言うなれば、この基礎さえ分かっていればあとは練習と慣れで難しい問題でも克服できるのです。

化学反応式から派生するのは酸化還元反応や酸塩基反応です。
酸化還元反応はさらに電池にもつながっていきます。

難しい入試問題になればなるほど酸化還元や電池に関する問題が増えていくと思ってください。

少し酸化還元反応に関する例題を見てみましょう。

塩化銅(Ⅱ)水溶液を、炭素棒を両極に用いて電気分解したところ、陰極に5.08gの銅が析出した。
(1)この時、電子は何モル流れたか?
(2)陽極には何gの塩素が発生したか?

Cu=63.5g/mol
Cl=35.5g/mol

これは酸化還元反応を用いた問題ですね。
まずは両極の化学反応式を考えてみましょう。

陽極:2Cl → Cl2 + 2e
陰極:Cu2+ + 2e → Cu

ここで、陰極で発生した銅は5.08gでしたね。
5.08g/63.5g/mol = 0.08 mol

つまり、陰極の式から銅が0.08mol発生したことが分かります。
さらに銅が0.08mol発生した時、流れた電子はその2倍量なので0.16molが流れたということが分かりますね。

陽極と陰極では同じ分の電子をやり取りするので、陽極の式でも0.16molの電子が流れ、0.08molの塩素が発生しています。

その結果、(2)で求めるのは71g/mol×0.08mol=5.68gということが分かります。

(1)0.16mol
(2)5.68g

これは本当に標準問題です。
しかし、標準といって簡単なわけではありません。

標準問題ができてこそ、初めて応用問題に挑戦できると思います。

まずはこのレベルがスラスラと解けるようになったらいいですね。

続いて、阪大の入試レベル問題を見てみましょう。

2011年の化学の問題から一部を抜粋したものです。

アルミニウム板の銅めっきをおこなった。まず、硫酸銅(Ⅱ)水溶液と硫酸を電解槽に入れた。次に、銅板とアルミニウム板を用意しそれぞれの質量を測定した。陽極に銅板、陰極にアルミニウム板を用いた直流電流で電気分解を行った。電気分解終了後、それぞれの質量を測定した。

(1)アルミニウム板の増加質量は0.55gであり、めっきされた面積は3.0×102m2であった。めっきが均一になされた場合の銅めっきの膜厚を有効数字2ケタで答えよ。ただし、めっきされた銅の結晶構造は一辺の長さが3.6×10‐8cmの面心立方格子である。

(2)今度は陽極にアルミニウム板、陰極に銅板を用いて同様の実験をおこなった。その結果、アルミニウム板の質量が0.54g減少していた。銅板の質量増加は何gか。

どうでしょう。
なんかややこしくなりましたね。

膜厚を求めよなんてなんだそりゃという感じです。

ちょっと問題を解いてみましょう。

(1)面心立方格子の単位格子内の原子数は4個でしたね。

念のために載せておくと、1/8の球が8個と1/2の球が6個あるので合計4個の原子が入っています。

銅の密度dg/cm3は

d= 63.5g/mol / 6.02×1023個/mol × 4個/cm3=9.04 g/cm3

したがって、析出したCuの膜厚Lcmは

3.0×102cm2 × Lcm x dg/cm3 = 0.55gより

Lcm=2.0×10-4

(2)まずは両極の酸化還元反応の式から。
陽極:Al → Al3+ + 3e
陰極:Cu2+ + 2e → Cu

溶け出したアルミニウムの重さは0.54gですから、そのモル数は
0.54/27mol になりますね。

そのとき、流れた電子は 0.54/27mol × 3で求められます。

陰極でも流れた電子数は同じなので、析出した銅はこの半分ですね。

つまり、0.54/27 mol × 3/2=0.03molです。

そうすると、析出した銅の量は0.03mol × 63.5g/mol=1.905gと求められます。

これで阪大の問題は終わり。
どうでしょう。

少し表現が分かりにくいですが、化学反応式をしっかりか書けて、さらに式を使った換算ができれば決して解けない問題ではありませんね。
むしろ解ける問題です。

これは教科書レベルの標準問題でも阪大レベルの応用問題でも根本は同じであるということです。

ベースがしっかりしていればあとは解けるようになります。

このことを忘れずに、標準問題をおろそかにせず一個一個丁寧に問題に取り組んでいきましょう。

化学の無機はとにかく暗記がいっぱい

続いては無機化学の分野についてです。

無機化学の分野はとにかく暗記が多いです。

化学の暗記分野ですね。

ここでは、元素分類と元素ごとの特徴を覚えていきます。

元素分類では金属元素、非金属元素、遷移元素などに大きく分かれており、各元素団の特徴や工業的製法などを学んでいきます。

また、金属元素に関しては塩として沈殿するときについても勉強します。

正直、この範囲は暗記量が勝負です。

センスやひらめきなどは必要ありません。
知っているか、知らないかの分野なのでとにかく、知識の整理を心がけましょう。

私のおすすめの方法としては、似たものどうしを探すことです。

元素表はみなさん覚えていますよね。
元素表を最大限に利用しましょう。

元素表に従って、1族、2族、3族と縦で覚えていきます。

1族ならLi,Na,K,Rb,Csですね。
縦で覚えることで性質の似たものをまとめて覚えることができ、わかりやすく頭に入ってきます。

1族元素はアルカリ金属です。
密度はかなり小さく、Li,Na,Kは水よりも密度が小さいです。

また、イオン化傾向は非常に大きく、水と反応することで水素を発生して1価の陽イオンになりやすいです。

こんな感じで、アルカリ金属の特徴を一気に覚えることができるのです。

同じように2族~18族まで覚えてしまいましょう。

無機分野でよく問題として出やすいのが製法についてです。

よく出る製法炭酸ナトリウムを製造するアンモニアソーダ法
硝酸を製造するオストワルト法
硫酸を製造する接触法
鉄を製造する方法(名称なし)

これは化学反応式を用いて、原料何グラムから目的の化合物が何グラム得られるかを問う問題が非常によく出されます。

例題を見てみましょう。

アンモニアソーダ法による炭酸ナトリウムの製造は次のようになっている。

①原料塩を水に溶かし、石灰乳を加えてマグネシウムを取り除き、アンモニア、二酸化炭素、窒素ガスを加えてカルシウムを除く
②アンモニアを飽和させた後に、二酸化炭素を飽和させ沈殿させる。
③沈殿を分離して200度で加熱する。
④アンモニアを回収する。

(1)②、③、④の過程を化学反応式で示せ
(2)原料塩の70%が炭酸ナトリウム製品になるとすると、無水炭酸ナトリウムを1.0t得るには原料塩は何t必要か。

この問題は阪大の過去問ではないので、やや解きやすいですね。

(1)
②NaCl + NH3 + H2O + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl
③2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
④CaCO3 → CaO + CO2
CaO + H2O → Ca(OH)2
2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O

(2)
②~④の式をまとめると
CaCO3 + 2NaCl → Na2CO3 + CaCl2

必要な原料塩をXモルとすると、

X/2mol x 0.7 x 106g/mol = 1.0t

X=1.0t x 2/106/0.7

さらに求めるのは原料塩の重量Mtなので

Mt=X x 58.5 = 1.57…

よって、1.6tです。

この問題は東京水産大学の問題の抜粋です。

無機化学分野のオーソドックスな問題形式であり、しっかりと解けるようにしておきたいですね。

阪大の場合にはもう少し難しい問題が出題されることもあります。

教科書には載っていない金属の製法を示し、同様の形で重量などを求めさせます。

教科書にないからと言って解けない、ではなく、教科書のやり方を参考にしつつ与えられた条件を考えながら解き進めることが求められます。

まさに応用問題ですね。

これは阪大だけでなく、難関国立校と言われる大学のほとんどで応用問題が出題されています。

ほとんど差が付かない有機分野

最後の化学の範囲は有機化学分野です。

有機化学とは炭素を必ず含む分子を扱う範囲です。

アルカン、アルケンなどの話から始まり、芳香族やDNA、RNAの話まで発展していきます。

有機化学の問題形式としては、分子式が与えられて構造異性体の数を求めたり、構造を決定したりする問題が多いです。

有機物質が持つ官能基によって性質が変わってくるので、文章から構造を決定していきます。

有機化学の知識を元にして構造を推理していくので、パズルゲームという表現が最も適切でしょう。

パズルゲームなのである程度の知識がつき、ルールを理解すれば誰でも解けるようになります。

つまり、差が付きません。

化学を解くときの最大の得点源は有機化学と言われるほどで、それくらいどの学生も得意なんです。

誰でも解けるので、逆に苦手なままだと差を埋めるのが大変になり、それだけで化学の成績が伸びません。

それくらい重要な分野です。

しかし、有機化学は範囲がそこまで広くなく、きちんと練習していけば必ず解けるようになります。

本番でも練習と同じように解けさえすれば正解にたどり着きます。

有機化学では高得点を目指し、他の人に差を付けられないようにしたいですね。

この範囲については例題をあえて出しません。
ひたすら演習問題を解いてください。

阪大化学の対策と勉強法

基礎をおろそかにせずしっかりと固めておく

阪大の化学では見慣れない問題が出題されることが非常に多いです。

どの問題集でも解いたことがないような問題が当日に出題されることも十分に考えられます。

私の受験のときも、「何だこれ!」という問題が出題されました。

しかし、そういうときにこそ焦らないようにしましょう。

焦ってパニックになってしまうと解ける問題も解けなくなります。

一度、教科書レベルの基礎まで戻って考えることで、「あ、これはあの知識を使えばいいのか」とつながるはずです。

つまり、教科書の基礎が大事です。
たぶんみなさんが思っているよりも大事です。

教科書なんて簡単だよと甘く見ていると、実は痛い目に遭うこともあるんです。

基礎の積み重ねを大切にして、標準問題、応用問題を解いていきましょう。

どんなに難しそうに見える問題でも、解答の作り方は必ず習った範囲のどこかにあるはずです。

グラフや表の問題に強くなっておく

阪大ではグラフや表に書き込む形式の問題が出されることがあります。

最も有名なグラフですと、炭酸の電離についてのグラフですね。

炭酸は炭酸水素イオンを経由して2段階で炭酸イオンに変化していきます。

この時の各イオンの様子をグラフで表せ、という問題をよく見ますね。

答えはこんな感じのグラフになります。

しっかりとpHについて理解ができていれば難なく解決できますが、意外と難しい問題です。

また、同じような問題としてリン酸の3段階電離の問題もあります。

普通の問題では反応式を書け、イオン濃度を求めよだと思いますが、阪大の場合にはグラフで表せ、という変化球問題が予想されます。

数式とグラフがどんな感じでリンクするかも勉強しておく必要がありますね。

総合問題への対策も忘れないようにする

阪大やその他の国公立大学は複合問題が大好きです。

無機、理論、有機の3分野の垣根を越えて融合問題が出題されます。

特に多いのは無機と理論分野の融合です。

問題が作りやすく、難しくしやすいようです。

その問題が何を聞いているのか、自分は何を答えるべきなのかをしっかりと考えておきましょう。

また、一つの現象に対して理由を明確にしておく癖をつけるといいと思います。

なぜ、二酸化炭素は水上置換をして、アンモニアは上方置換なのか説明できますか?
理由を明確にしておくと、複合問題が出題されて変な問題に遭遇したとしても解ける可能性が増えます。

私は、化学の問題を解いていて疑問に感じたことはメモとして残していました。
また、問題集や模試で出会った記述形式の問題は必ずメモしていました。

これらのメモをまとめておくことで、現象の理由を理解しやすくなりましたね。

また、テスト前にこのまとめノートをパラパラと見直すことで簡易復習をすることもできました。

記述式問題のまとめノートを作るのはぜったいおすすめできます。

まとめ

さて、今回は阪大化学についての分野ごとの勉強法やポイントについてまとめてきました。

阪大の化学はとにかく応用問題が増えます。

おそらく、一般の問題集には載っていない問題が出題されやすいです。

しかし、その応用問題でも根本にあるのは教科書や練習問題です。

元をたどれば同じ問題なので、基礎、標準問題を完璧に解けるようにしておくことが必要ですね。

基礎、標準の知識を積み重ねていくことで必ず応用問題も解けるようになっていきます。

また、苦手を作らないことも大切ですね。

特に有機化学だけは苦手にならないように。

有機化学は得点源なので、みなさんも高得点を維持できるようにしておきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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