みなさんは解熱鎮痛薬は知っていますか?
頭が痛くなった時に使っているあれですね。
現在、市販の解熱鎮痛薬は非常にたくさんの種類がありますよね。
しかし、OTC薬はすぐに買える反面、適切な知識の共有ができていないこともあります。
今回はその解熱鎮痛薬についてまとめ、薬学生として学んだことをここに残しておきますね。
解熱鎮痛薬はどんなとき使うか?

まず始めに、解熱鎮痛薬の用途について調べました。
一口に解熱鎮痛薬と言っても、いったいいつ使うのがいいのでしょうか。
どんな自覚症状に使うのがベストなのかを調べました。
そうすると、大きく分けて3つの自覚症状がある場合に使うことが多かったです。
生理痛
発熱
これらの3つに対して解熱鎮痛薬は適応があり、用いられることが多いです。
それでは、それぞれの症状について見ていきましょう。
頭痛と解熱鎮痛薬
一口に頭痛といっても、部位や程度、発症の頻度や持続時間など症状はさまざまです。
頭痛は、原因によって、明らかな基礎疾患のない一次性頭痛と、何らかの基礎疾患の症状の1つとして起こる二次性頭痛の2つに大きく分けられます。
二次性頭痛:基礎疾患の症状の1つとして起こる場合
一般的にOTC薬の解熱鎮痛薬を用いて頭痛症状の管理ができるのは一時性頭痛に限られており、その中でも緊張型頭痛と片頭痛のみです。
緊張型頭痛や片頭痛に対しては、小児、大人でも胃が弱い人、アレルギー体質の人にはアセトアミノフェン、それ以外の人にはアスピリンやイブプロフェンが一般的です。
痛みが強いようであれば、ロキソプロフェンナトリウムやイソプロピルアンチピリンを使用します。
緊張型頭痛ではイブプロフェン+カフェインの合剤、片頭痛にはアスピリン+アセトアミノフェン+カフェインの合剤が有効であるという報告もあります。
ちょっとまとめてみました。
アウピリン、イブプロフェン:特にアレルギーもなく、胃弱でない成人の方
ロキソプロフェン、イソプロピルアンチピリン:痛みが強い場合
イブプロフェン+カフェイン合剤:緊張型頭痛
アスピリン+アセトアミノフェン+カフェイン:片頭痛
一時性疼痛の中の群発頭痛や二次性頭痛の場合はOTC薬でのセルフメディケーションができないので、医療機関を受診し医療用医薬品によって対処する必要があります。
二次性頭痛の場合には特別な鑑別が必要であり、次の3つのポイントを用いて判別していきます。
②今までに経験したことがないようなひどい頭痛
③時間とともにひどくなってくる頭痛
どの症状も危険な状態であり、長期的に続くようであれば二次性頭痛の可能性が大いにあるので、しっかりと医療機関を受診してください。
そのほかにも、頭部の打撲、視野の異常や複視(物が二重に見える)、発熱、発疹、麻痺、意識障害、薬物の服用、暖房器の使用(一酸化炭素中毒)などの有無を確認し、該当する場合は医療機関の受診をすることが必要です。
もし自覚症状が分からない場合には薬局薬剤師に相談するのも一つの手ですね。
群発頭痛はまれな頭痛で、目の周囲が焼けたり目の奥がえぐられたりするような感じの激しい痛みが数週間から数ヶ月間、繰り返し起こるものです。
この場合も医療機関の受診が必要です。
解熱鎮痛薬を使い始めてから5日から1週間たっても痛みが治まらない場合にも医療機関に行きましょうね。
生理痛と解熱鎮痛薬
生理痛は痛みが強くなってから服用するよりも、痛みを感じ始めたときに服用するほうが効果的だそうです。
生理痛には抗炎症作用があるアスピリンやイブプロフェンがお勧めです。
イブプロフェンは「イブ」という名前で売られていて、名前を聞いた方もいると思います。
https://www.ssp.co.jp/eve/period_pain/
抗炎症作用は炎症誘発因子のプロスタグランジンの生成を阻害するからでしたね。
痛みが強いようであればロキソプロフェンナトリウムを使用します。
イブプロフェンに、下腹部の緊張に直接働くブチルスコポラミン臭化物を加えた生理痛専用薬も市販されており、軟便を伴う下腹部の痛みがある生理痛に効果があります。
強い痛みや出血過多の場合は、子宮筋腫や子宮内膜症などの疑いがあるので、受診を勧めましょう。
ロキソプロフェン:痛みが強い場合
イブプロフェン+ブチルスコポラミン:軟便を伴う下腹部痛、生理痛
発熱と解熱鎮痛薬
発熱は体内で起きた以上に対して働いた免疫防御反応が原因です。
かぜのときに熱が出ると思いますが、体内の防御機構とウイルスが戦う時に熱がでているので、熱を薬で無理やり下げることは逆効果です。
熱が発生しているということは免疫組織がウイルスを排除しようとしている証拠なのです。
ここで熱を下げようとすると、防御機構を抑えることにもなるので結果的にかぜの治りが遅くなってしまいます。
そのため、発熱に対して解熱鎮痛薬を使おうとするのは十分に注意してください。
どうしても熱が出て我慢できないとき、熱を無理やり下げてでもやらなければならないことがある場合を除いてはできるだけ使わないのがいいでしょう。
発熱はかぜ以外でも発症することがあります。
細菌感染や薬物使用、アレルギーなどでも起こります。
こういった場合にはOTC薬を使ったとしても効果がほとんどないので医療機関を受診するといいです。
アセトアミノフェン:小児、大人でも胃が弱い人、アレルギー体質の人
アスピリン、イブプロフェン:特に問題がない成人
ロキソプロフェン、イソプロピルアンチピリン:特に効果がないとき
解熱鎮痛薬を使う時の注意点
解熱鎮痛薬を必要以上に使い続けることによって、痛みの閾値が低下し、より痛みが起こりやすくなる危険性があります。
鎮痛薬を毎日3か月以上服用し続けたことによって起こるとも言われます。
また、カフェインを含む解熱鎮痛薬を使い続けることによってカフェイン誘導性頭痛や睡眠障害にもつながることがあります。
長期的に解熱鎮痛薬を使うのはできるだけ避け、痛みが続くときには薬剤師、医師に相談するようにしてくださいね。
解熱鎮痛薬の併用注意情報
治療中の病気や定期的に内服している薬がある場合には注意が必要です。
解熱鎮痛薬に含まれる成分と他の医療用医薬品との相互作用が報告されていることからも、OTC薬を買う前に十分に確認してください・
例えば、ワーファリンや抗凝結薬などは血液をサラサラにして血を固まりにくくする作用があります。
これは解熱鎮痛薬の中のアスピリンにも同じような効果があることから、さらに血が固まりにくくなってしまう危険性があります。
内出血やうちみが増えてしまったり、けがをしても血が止まりにくくなったりします。
また、糖尿病治療薬の作用を強めてしまうことも報告されています。
さらに、降圧薬や利尿薬、尿酸排泄促進薬の効果を弱めてしまうこともあります。
ニューキノロン系の抗菌薬と一緒に服用すると痙れんを起こす危険性のある解熱鎮痛薬もあります。
また、解熱鎮痛薬は一般的に胃腸障害を起こす頻度が高いので、胃炎や胃潰瘍で治療を受けている人には使えないものがあります。
アスピリンには血液凝固阻害作用があるので、抜歯や手術、心臓カテーテル検査などの予定のある人にも使用できません。
サリチル酸系製剤(アスピリン、エテンザミドなど)は、15 歳未満の小児の場合、水痘(水ぼうそう)やインフルエンザによる発熱や頭痛に対して使用するとライ症候群を引き起こす危険性があるので、服用を避けなければなりません。
このように、解熱鎮痛薬を使う時には併用を注意するべきポイントがたくさんあるために前もって自分の使っている薬を確認し、心配な場合には薬剤師などに相談しておきましょう。
喘息と解熱鎮痛薬
解熱鎮痛薬を使う時には喘息の既往がある場合にも注意がひつようになります。
喘息の中でもアスピリン喘息というものがあり、成人の喘息の10%がアスピリン喘息です。
アスピリンだけでなく、NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛薬によっても引き起こされる可能性があります。
主な自覚症状としては鼻水や鼻づまり、息切れ、そして喘息発作が起こります。
一般的には30分ほどでこういった症状が現れ始め、呼吸困難にまで発展する危険性があり、最悪の場合には死に至ります。
薬は使わないのがベスト?症状を予防するには?
薬はあると便利ですが結局のところ使わないのがベストです。
使えば症状は治りやすくなるかもしれませんが、それに伴って気を付けなければならない事柄も増えていきます。
そのため日ごろからできるだけ頭痛や生理痛、発熱などを起こさないように注意してみるのもいいですよね。
頭痛を予防するには?
食事:規則正しい食生活を送り、欠食を避けましょう。
片頭痛の人はマグネシウム含有食物(魚介類、海藻、大豆など)を積極的にとるようにしましょう。
嗜好品:カフェイン入りの食品(お茶、コーヒー、コーラ、チョコレートなど)は避けましょう。
ストレス解消:片頭痛の予防には、休養・睡眠を十分にとり、ストレスや疲労をためないよう注意しましょう。
生理痛を予防するには?
冷えの改善:冷えは血流を悪くします。特に下半身を冷やさないように注意しましょう。お風呂に入っておなかや腰を温めたり、温シップやカイロをおなかや腰に貼って温めると効果的です。
ストレス解消:生理痛はストレスを背景にホルモンの状態が乱れて起こることが多いようです。ゆっくり休息をとり、リラックスすることでストレスを解消し、生理痛を軽くしましょう。軽い運動やストレッチも効果的です。
発熱を予防するには?
発熱を予防するには規則正しい食事と、睡眠が大事です。
熱が出るときって、お腹を出して寝ていた、食事が不規則だった、寝不足だったということが多いと思います。(自分を振り返って)
つまり、日ごろからしっかりと規則正しい生活を送っていれば熱がでるリスクを減らすことができます。
また、かぜの菌を人から移されてしまうこともあると思います。
この場合には手洗い、うがいの習慣が最も効果的でしょう。
家に帰って来たらまずは手洗い、うがいをしてかぜ予防に努めてみてはどうでしょう。
当たり前すぎるかもしれませんが効果はあるそうです。
まとめ
今回はOTC薬の中の解熱鎮痛薬について紹介してきました。
解熱鎮痛薬は頭痛、生理痛、発熱などに用いられる一般的なOTC薬です。
しかし、使う時には注意も必要であり、薬物相互作用、喘息の既往などについても確認しておくべきです。
また、できるだけ薬を使わないように心がけ、日ごろの生活習慣の見直しを検討するとより健康な生活を送れることでしょう。
参考資料:OTC薬入門、改訂第5版