薬学生が乗り越えなくてはならない関門の1つに
CBT
がありますね。
CBTを勉強するときにはコアカリを使うと思います。
しかし、どうやって勉強するか分かっていますか?
全部の範囲を隅から隅までやるの?
楽な範囲はないの?
いきなり問題集をやってもいい?
など色々疑問がありませんか?
私はCBTを無事通過できたので、今回はZONE1の勉強法について紹介していきます。
1つ1つの分野について紹介していくので、自分が知りたい分野を読んでください。
物理系薬学

1つ目は物理系薬学についてです。
物理系薬学は登場頻度が少ないことから、忘れている知識が多いでしょう。
2回生の前期にやっただけで、あとは1回も出てこない知識もあると思います。
そのため、物理系薬学の範囲はZONE1の中でも特に重点的にやるべきです。
私の場合も、化学系、生物系と比べて時間をかけました。
C1-1,物質の構造
いきなり問題集を解き、分からないところをポイント集で確認
原子・分子:電磁波と赤外線吸収スペクトルだけはまとめておく。ポイント集で復習して問題集へ
放射線と放射能:重点的に勉強する。ポイント集をまとめてしっかり復習する。その後、問題を解く
化学結合や分子間相互作用については、特に新しい知識はないことから、ポイント集はまとめずに問題を解くだけ大丈夫です。
問題集で分からないところがあれば、ポイント集で補います。
原子と分子の範囲では電磁波の種類と性質について押さえてください。
γ波とX線、赤外線、紫外線の振動数をしっかり覚えておきましょう。
赤外線吸収スペクトルについてはよく聞かれるのでしっかり覚えておきましょう。
官能基と特徴的な吸収波長を覚える。
特にカルボニル基。
放射線と放射能はポイント集と問題集の両方を使って学習してください。
α壊変、β壊変、γ壊変の違いを説明できるようにしておきましょう。
原子番号の変化、質量数、中性子、陽子、電子のどれが放出されるかについても覚えます。
放射能の単位も整理しておきましょう。
eV, Bq, Gy, Sv
何を表す単位で、どんな内容なのかについてを意識する。
C1-2,3,物質の状態
物理平衡:二成分系のグラフを復習する
電気化学:標準電極電位と起電力を重点的に復習する。問題を解きながらポイント集で復習
物質の状態の分野で最もややこしいのが、エンタルピー、エントロピー、標準エンタルピー変化です。
この分野は重点的に勉強してください。
ポイント集から勉強しましょう。
ごちゃごちゃになりやすいのでまとめておき、何度も復習しましょう。
自発的な変化、ギブスエネルギー、ファントホッフの式など、覚えるポイントが多いです。
物理平衡のグラフの問題も出ていました。
気液平衡、液液平衡、固液平衡のグラフの違いを理解しておきましょう。
ポイント集をまとめてから問題集を解くと分かりやすいです。
溶液の科学では電池の問題が出ていました。
標準電極電位、標準ギブスエネルギーを覚えましょう。
C1-4,物質の変化
物質の移動:溶解速度と沈降速度の式は区別して覚える
反応速度に関しては、反応速度論がよく出ていたイメージです。
ミカエリスメンテンの式からラインウィーバープロットの関係性を把握しておきましょう。
また、競合阻害、非競合阻害のときのグラフの変化がよく出たので、グラフと式の意味を根本から理解しておくことが大切です。
半減期のグラフもよく出ていました。
0次反応、1次反応で傾きや半減期がどう変わるかを覚えましょう。
グラフを選ばせる問題もありました。
溶解速度と沈降速度についても混ざりやすいです。
沈降速度:Stoke式
数式を適切に覚えましょう。
また、移動系中の条件が変わると速度がどうなるかも式から導けるようにしておきましょう。
例、Stokeの式において粒子の大きさが2倍になったら、速度は4倍になる。
C2-1,化学平衡
酸と塩基の化学平衡についてです。
この範囲は高校化学でほとんど片付くので特に勉強するところはないと思います。
サクサクと時間をかけずに終わらせてください。
C2-2,化学物質の検出と定量
定量の基礎、容量分析:高校化学の知識で対応できるが、プラスアルファの知識もある。問題を解きながらわからないところをポイント集で確認する
金属元素の分析:定義、操作方法などをポイント集で確認する。
クロマトグラフィー:クロマトグラフィーの種類は区別してポイント集で確認する
定性試験はけっこう出ました。
そして、けっこう迷いました。
そのため、定性試験の内容は覚えてください。
特に医薬品の定性試験について問われます。
- 何を検出するか?
- 何を加えるか?
- 何色になるか?
をしっかり覚えましょう。
発行分析法
光源部は何を使うかも聞かれたので、ポイント集を勉強して問題集で復習していきましょう。
クロマトグラフィーの種類もけっこうあるので覚えておきましょう。
いつ使うか、どんな仕組みか、特徴を中心に覚えてください。
- ガスクロマトグラフィー
- 液クロマトグラフィー
- 薄層クロマトグラフィー
についてしっかり説明できますか?
違いを説明できるように復習しましょう。
C2-3,分析技術の臨床応用
電気泳動の種類は出題されやすいです。
X線診断法、MRI、超音波診断法の違いも出てきました。
ポイント集の赤字は全部覚えましょう。
意外と細かい場所が聞かれます。
「X線吸収率の高い組織はどこか?」など。
C3-1,生体分子を解析する方法
:似ている分析法が多いのでしっかり区別して覚える。まとめ終わっても忘れやすいので復習が必須
②旋光度測定法
③質量分析法;電子イオン化法、化学イオン化法、高速原子衝撃報、マトリックスレーザー支援脱離イオン化法、エレクトロスプレーイオン化法
これらの分析法はややこしいものが多いので、ポイント集を見ながら一度まとめてみてください。
目的は何か?
などを考えながら、勉強するといいと思います。
問題を解き、さらに復習していくと知識が定着しやすいでしょう。
物理系薬学の勉強法
物理化学は全体的に式がたくさん出てきます。
式とグラフを関連付けることが多いです。
また、覚えることが中心な範囲はを下に示します。
エントロピー、エンタルピー
分析方法
これらの範囲は特に暗記が多いので、早めに手をつけましょう。
エントロピー、エンタルピーはなんとなくわかったけど、問題として聞かれると答えられないということがあります。
また、似ている分析方法が出てきて、混ざってしまうことも多いです。
特徴をサラサラと言えるようになるくらいまで勉強してください。
物理系薬学に力を入れると、ZONE1の点数が伸びやすいです。
周りの人も同じように苦手なので、総合的な順位は上がりますよ。
化学系薬学

続いては化学系薬学についてです。
化学系薬学の分野は有機化学が大半を占めているため、有機化学の得意不得意によって大変さが変わります。
得意な人なら、1日で終わってしまうほどの勉強量です。
ポイント集をパラパラ読みながら、問題を解いて分からない箇所だけを復習していきます。
このやり方であれば短期間で化学系薬学を終わらせることができます。
一方で、苦手な人にとっては物理系薬学の範囲と同じくらい大変になります。
1から有機化学を勉強するイメージです。
また、ポイント集だけだと説明が簡略化されているので理解しにくいことがあります。
その時は有機化学の勉強で使っていた教科書まで戻って復習してください。
めんどくさがると、さらに勉強の進みが遅くなってしまいます。
C4-1,化学物質の基本的性質
この範囲は正直、簡単な部分です。
特に難しいポイントはありません。
今までの有機化学の授業をしっかり受けていれば難なく進めるので、いきなり問題集から解き始めていいです。
逆に全く分からない部分が多いと、後が大変です。
もし分からないのであればポイント集を読み返しましょう。
C4-2,有機化合物の骨格
ここでは、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族を勉強します。
反応式の名前と反応式を一致させるようにしましょう。
忘れているポイントも多いと思うので、ポイント集で軽く復習をしてから始めましょう。
マルコフニコフ則、ヒュッケル則などは覚えていますか?
文章題で出題されていたので復習しておいてください。
求核置換反応と求電子置換反応の違いも押さえておきましょう。
C4-3,官能基
アルコール、ハロゲン、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミンについて勉強していきましょう。
それぞれの性質や代表的な生成方法を学びます。
ここも、忘れている部分が多いと思うのでポイント集から始めましょう。
ある程度解き終わったら問題に移っていきます。
官能基を比較した時の酸性度や脱離能についても勉強しておきましょう。
C4-4,化学物質の構造決定
問題は復習目的で使う
プロトンNMR、カーボンNMRなどの構造決定方法を勉強していきます。
IR、紫外線可視吸収スペクトル、マススペクトル、非旋光度は授業でも少ししかやっていないと思うので、ここもポイント集から始めましょう。
特徴を押さえながら勉強していきます。
この範囲は覚えることが多いので、まとめながら勉強するといいです。
C5-1, 官能基の導入・変換
ここはとにかく暗記ですね。
理屈とかはほとんどないので、化学反応を覚えるだけです。
有機化学が得意かどうかによって特に負担が大きく変わってきます。
登場する化学反応式は60弱あるので、全てを網羅するには時間がかかります。
苦手な人は、早めにこの分野をつぶしておきましょう。
ポイント集を使って覚えたら、問題集で覚えられているかを確認します。
反応式を書き出し、官能基の変化を押さえましょう。
矢印を使った反応機構を書けるようになっておくと、頭に入りやすくなります。
化合物が複雑になっても惑わされずに、解き進められるでしょう。
すぐには覚えきらないと思うので、何度か復習してください。
C5-2, 複雑な化合物の合成
ここでは覚えるべき反応式は少ないです。
転移反応がいくつか出るだけなので、特に苦労はしないと思います。
また、炭素酸の酸性度について出てくるので、理屈を覚えましょう。
アルキンとアルカンではどっちが酸性度が強いですか?
理由をしっかり説明できるように、ポイント集から勉強しましょう。
C6-1, 生体分子とコアパーツ
この範囲は割と基本的なことばかりです。
タンパク質、糖、核酸の構造についてです。
また、生体膜を形成する物質と化学構造についても扱いますが、生物の基礎でやったものばかりです。
いきなり問題を解いてみて、分からなければポイント集に戻るといいでしょう。
C6-2, 医薬品のコアパーツ
ここでは複素環が出てきます。
複素環の種類や構造は大丈夫ですか?
窒素原子、酸素原子、硫黄原子が入っている複素環を1つずつ暗記していきましょう。
生体分子を模倣した医薬品については良く出てきました。
ステロイドホルモン、核酸、ペプチドなどを模倣して、医薬品が作られています。
有名な薬と、何を模倣したのかを覚えましょう。
例、フルオロウラシル→ウラシル、プレドニゾロン→副腎皮質ホルモン
C7-1, 薬になる動植物鉱物
他の分野を完璧にする方が得策
この範囲は暗記量が多いので非常に重いです。
特に薬用植物と生薬を覚える必要があるので、かなり大変です。
薬用植物は100種類弱出てきています。
また、生薬成分の構造や生合成経路もややこしく覚えにくいです。
メバロン酸経路、シキミ酸経路などは覚えていますか?
生薬化学で勉強したと思いますが、けっこう覚える量が多いんです。
そこからさらに、関連化合物を覚えなくてはなりません。
関連化合物も20個ほど出てきました。
つまり、この範囲は後回しにするべきです。
覚えきれないですし、覚えたと思っても忘れてしまいます。
また、CBT本番のときの出題数もかなり少ないことから、かける時間と期待できる得点のバランスが合いません。
友達の中には生薬分野を切っている人がいました。
俺はこの範囲切ったわー
本番で出たとしても少ないなので、他の分野を完璧にする方が効率がいいです。
完璧にしたい場合には、よっぽど早く勉強を始めないとだめです。
私の場合には始める時期が遅かったので、飛ばしながらやっていました。
C7-2, 薬の宝庫としての天然物
この範囲で覚えておくべきは漢方分野です。
漢方医学の診断方法と漢方薬について覚えていきます。
漢方薬の種類は生薬ほど多くないので、赤字の漢方薬を先に覚えてください。
副作用
の2つを覚えましょう。
副作用についてはよく聞かれます。
マオウ:不眠、発汗
ブシ:心悸亢進、舌のしびれ
この3つはぜったい覚えておいてください。
また、これらが入っている漢方薬も合わせておきましょう。
化学系薬学の勉強法
化学系薬学の勉強法は有機系の得意不得意によって変わります。
得意なら短時間で終わらせることができるので、その分を物理系やZONE2,3に回しましょう。
不得意な場合には早めに勉強を始めるべきです。
ZONE1で時間をかけてしまうと、ZONE2,3でしんどくなります。
コアカリを購入したらすぐにでも始める心構えを持っておいてください。
生物系薬学

最後の範囲が生物薬学についてです。
生物薬学は他の分野とかぶっている部分が多いので、勉強がはかどりやすいです。
薬理や病態、低学年時の生物の授業などでだいたいの範囲を勉強しているでしょう。
そのため、何度か接している機会があり、あなたが覚えている知識も多いはずです。
サクサク進めて行きましょう。
C8-1~3, 生命体の成り立ち
この分野は非常に基本的です。
生物の基礎の基礎ですね。
細胞と組織
神経の調節機構
免疫分野や薬理分野で触れていることが多いで、新しく勉強することはほとんどありません。
まずはポイント集を見ながら簡単にまとめていきましょう。
臓器について大まかに知っていても、実際はもう少し細かいことが聞かれてきます。
自分の知っている知識を、ポイント集を使ってアップデートしていくイメージで勉強していきましょう。
一通りまとめたら、問題をうまく使って足りない部分を補いましょう。
C8-4, 小さな生き物たち
ここでは細菌の基礎について勉強していきます。
グラム陽性菌とグラム陰性菌の違いや有名な菌類をまとめておきましょう。
また、この分野はZONE3でも取り扱われる分野なので、先取りして覚えておくと後が楽になりますよ。
C9-1~4
この分野も生物の基本です。
脂質、糖質、アミノ酸から始まり生体内での働きを勉強します。
ここも、1~3回生の時に勉強している分野なので、軽い復習をやってすぐに問題を解いて勉強していきましょう。
ビタミンは覚える必要があるので暗記です。
特徴と生体内作用を中心に覚えましょう。
核酸、ヌクレオチド、遺伝情報、遺伝子伝達なども低学年の時にやっていますよね。
この範囲はできるだけすばやく終わらせたいです。
C9-5, 生理活性分子とシグナル分子
生理活性分子とはホルモンや神経伝達物質ですね。
薬理の授業でかなり深いところまで勉強し、薬とも絡めながら覚えていると思います。
軽い復習程度で良いと思います。
問題を解いてみて分からない部分をポイント集で見直す勉強しましょう。
C9-5,遺伝子を操作する
遺伝子操作や遺伝子解析分野です。
生物分野の人なら詳しい人が多いと思います。
PCR法やハイブリダイゼーション法などについて学びます。
サザンブロット、ノーザンブロット、ウェスタンブロットなどの違いもよく出てきました。
特徴といつ使うかを勉強しておきましょう。
C10, 生体防御
免疫機構の流れを復習し、サイトカインや神経伝達物質を覚える。
ポイント集を重点的に復習して、問題を解いて仕上げる
この分野は免疫分野です。
免疫分野はけっこう複雑で覚えることが多いです。
免疫担当組織や免疫担当細胞をしっかり覚えましょう。
正直ここは暗記になってしまいます。
マクロファージ、B細胞、T細胞、NK細胞などの特徴を順を追って覚えましょう。
また、抗原が入ってきたときに何のサイトカインが産生されるかについても覚えましょう。
IL-1, IL-4, IL-6など色々ありましたよね。
何がどの働きをしているかをチェックしてください。
まずはポイント集をまとめてみて、自分がどこを覚えていないかを確かめましょう。
その後、問題を解きながら知識を増やしていきましょう。
忘れている部分が多いと思うので、生物系薬学の中でも重点的にやってください。
また、免疫系が破たんした時の病期についても扱っています。
関節リウマチやSLEなどです。
このあたりはZONE2で詳しくやるので、飛ばしてしまって大丈夫です。
先にZONE2から始める場合には、より詳しくやっているので飛ばすことができます。
生物系薬学の勉強法
生物系薬学分野は、他の分野とかぶっている部分が多いので、物理系、化学系と比べて勉強しやすいです。
また、低学年で習っている範囲も含まれているので、復習もすぐに終わります。
早い人であれば1日でポイント集を見終わって、問題を解き始めることができると思います。
そのため、できるだけ時間をかけないで勉強することをおすすめします。
簡単な範囲に時間をかけるのはもったいないです。
生物系薬学だけを残して、ZONE2,3に進んで後からやるという方法もいいです。
短期集中型でやって時間の効率化を図りましょう。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回はZONE1の勉強法について紹介していきました。
これは私が思った勉強法で、かなり効果があります。
全ての範囲でポイント集を1からまとめていると、時間がかかります。
自分が得意な範囲があるなら、最初から問題を解き始めてください。
そして、分からない問題の部分をポイント集で復習するようにしましょう。
ポイント集をまとめると、まとめることに満足してしまって知識が蓄積されていないことがあるんです。
問題を解くことでアウトプットを行い、知識を定着させていきましょう。
ZONE1を早めに終わらせて、ZONE2,3の勉強に移っていきましょう。