みなさん、こんにちは、こんばんは!
大阪大学では来年度から薬学部の募集が全て6年制だけになることが決まりました。
今までは4年制と6年制の2種類のコースがありましたが、これからは6年制だけになります。
大阪大学が6年制にした目的や特徴などを調べてきました。
「新全6年制薬学教育」導入の狙い

まずは、新しい6年制教育を導入する狙いを見てみましょう。
大阪大学の公式ホームページからの引用です。
薬学教育が改められて10年が経過し、その課題も浮き彫りとなってきました。
そこで大阪大学薬学部・薬学研究科では、私たちが果たすべきミッションを再定義。国際舞台で活躍できる創薬臨床力に優れた「研究型薬剤師」および、磨かれた創薬基盤技術力で創薬の最先端を担う「Pharmacist-Scientist(薬剤師博士)」を育成することにしました。
そのために、私たちが持つ知的・人的・環境的な財産と大阪大学が持つ幅広いネットワークを活かしつつ、従来制度の課題にも対応した「新全6年制薬学教育システム」を構築。
従来の4年制・6年制学科を発展的に融合させる形で2019年度より導入することとなりました。
全国に例を見ない取り組みであり、ここから次世代のリーダーが生まれることを期待しています。
難しく書いてありますね笑
要約すると、、、、
薬学教育改正後10年が経過して、薬剤師育成において課題が出てきた
↓
大阪大学が先駆けで、研究できる薬剤師として創薬の最先端を担う薬剤師博士を育成することにした
↓
世界をリードする次世代リーダーが生まれることを期待
この10年で薬剤師はたくさん輩出されるようになりましたが、
研究できる薬剤師が少ないことから、薬学業界の研究力の伸び悩みがあったのでしょう。
確かに、薬局や病院の薬剤師さんを見ていると、
臨床研究からは大きく離れ、現場での業務に追われている感じ
でした。
それを克服するために、薬剤師として働きながらも、同時に創薬研究にも関わることができるようなより高度な薬剤師を育成しようというのが目的です。
そして、ゆくゆくは薬学領域を牽引するようなリーダーを育てようとしているんですね。
スケールが非常に大きな話ですが、それでも学問の発展のためには非常に重要な取り組みであると、薬学生の1人として感じます。
また、こういった取り組みは非常に珍しく、全国を見ても画期的な方針です。
薬剤師のあり方や、AI導入への懸念がある中で、もしかしたら薬学界に新しい風を吹き入れる起爆剤になるかもしれないですね。
在学中にこんな大きな転換点を迎えるなんてすごい!!
まあ、私達には何も関係ないんですけどね笑
「新全6年制薬学教育」において薬学科に設定される3コース

続いて、実際にどんな教育をしていくかを調べました。
現在大阪大学では3種類のコースを設置し、個人の希望に応じて振り分けられます。
Pharm.Dコース
薬学研究コース
それぞれのコースの特徴について大阪大学側が書いていますので、見ていきましょう。
先進研究コース
1つ目は「先進研究コース」です。
先進研究コースは、大阪大学薬学部・薬学研究科が「Pharmacist-Scientist(薬剤師博士)」を養成するうえで理想とする教育・研究の在り方を具現化したプログラムです。
Pharmacist-Scientist(薬剤師博士)とは、国際的に通用する創薬研究者のこと。
現在、薬の知識を持った創薬研究者、臨床現場を知っている創薬研究者は極端に不足しています。
研究機関や大学をはじめ、製薬企業、医療機関、行政機関など産学官の各方面から有望な人材が求められています。
そうした社会のニーズを踏まえて誕生したのが先進研究コースです。
世界水準を凌ぐ研究力を養成するため、薬学部と大学院が一体となった10年一貫の独自プログラムを新たに導入。
学部を一旦休学して大学院博士課程に飛び入学することで、核となる研究活動を中断することなく継続できる体制を整えるとともに、薬剤師国家試験の受験資格も取得できるようにスケジュールが組まれています。
経済的な負担を軽減するため、大学院博士課程(4年間)在学中は、授業料に相当する金額が給付されます。
●研究活動を継続できる学部・大学院が一体となった10年一貫体制
●大学院修了(博士)と薬剤師国家試験の受験資格を取得
これは「創薬研究者」を育成するコースですね。
現在の創薬研究に関わる人には、圧倒的に薬の知識と臨床現場経験のある人が不足している
と思います。
実際、製薬企業の創薬研究に携わるほとんどの人は工学部、理学部、薬学部4年制出身の方が中心であり、専門的な薬の知識には疎いでしょう。
臨床現場経験に至っては皆無
です。

臨床現場を体験できるのは今のところ、薬学部の6年制における病院実習のみであり、限られた人間しか受けることができていません。
そのため、臨床現場の声が創薬研究に活かされにくかったり、患者の声を聞いたことがない人が創薬研究をしていたりと矛盾が生じています。
臨床現場に出たことがないのに「患者さんのために薬を作りたい」と思えるでしょうか?
実際の患者さんに会って話したリアルな経験がないと、本気でそうは思えないでしょう。

この現状を打破するために打ち立てられたのが先進研究コースであり、臨床現場経験を持った創薬研究者の育成を目指すのが目的です。
今後は臨床現場経験を持ちながら、創薬研究をすることができる人材が求められる可能性が非常に高いため、時代の流れに沿った教育方針なのかもしれません。
大阪大学では6年制に在籍しながらドクターコースに進学する人は非常に少ないことから、臨床現場経験のある学生が研究していな状態が続いています。
実際、私の上の先輩方もほとんどが6年で卒業しドクターコースに進学して研究を続けている人はごく少数です。
このコースが設置されることによって、より高度な知識と経験を持つ創薬研究者が生まれていくことでしょう。
時代の流れに沿った人材の教育
Pharm.Dコース
2つ目は「Pharm.Dコース」
Pharm.Dコースは、世界に通じる「研究型高度薬剤師」を育成するコースです。
Pharm.D(大阪大学)は、グローバルで通用する職能として大阪大学が独自に呼称するものです。
「新全6年制教育」に先駆けて2013年度から導入されているコースであり、すでに豊富な教育実績を有しています。
研究型高度薬剤師に求められるのは卓越した臨床力と研究力です。
そのためPharm.Dコースでは、医療や臨床の早期体験を可能にし、3-4年次には医学部や歯学部、附属病院、臨床や医療に特化した薬学部の研究室などに配属して横断的な教育を実施。
実務実習が実施される前の3年次から臨床を体験し患者さんと触れあう機会を設けています。
関連部局や連携医療機関に加えて、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)や製薬会社を招いた講義も実施しています。
卒業後のキャリアパスとしては、大学や臨床(医療機関)で活躍する薬剤師のリーダー、厚生労働省などの官公庁がめざせるほか、製薬会社の臨床開発部門や信頼性保証部門での活躍も期待されます。
大学院博士課程に進み、薬学的視点からの臨床創薬研究で成果を上げてPharmacist-Scientist(薬剤師博士)をめざす道もあります。
●医学部や歯学部、附属病院、関連病院と連携した教育・研究
●研究型高度薬剤師としての職能
「Pharm.D」という名称は「Pharmacist-Doctor」の略称です。
1つ目のコースは「Scientist」、2つ目は「Doctor」で、どちらもハイレベルな人材を育てる計画ですね。
Pharm.Dコースは創薬研究というよりも、もっと臨床現場に近い学習をすることができます。
一般的な薬学生は5年次に2か月ずつの薬局、病院実習があります。
しかし、Pharm.Dコースでは3年次の研究室配属のタイミングで、実際の病院や医療現場に行くことができます。
かなり早い段階から臨床現場を体験することができるので、より医療人としての自覚や責任の重さなどを学ぶことができるでしょう。
進路としては、普通の薬剤師ではなく、知識と経験を活かして周りの薬剤師を取りまとめるリーダー的な存在として医療現場を牽引する人材になっていきます。
病院の他にも厚生労働省などの官公庁や製薬企業の臨床開発部門などに進むことができます。
臨床現場の体験が豊富な厚生労働省職員が増えていけば、より患者目線、医療者目線で法律などを決めてくれそうです。
現在、阪大薬学部の研究室には「Pharm.D」というものがあります。
ここには6年制の学生しか入ることができず、3年次から臨床体験をしています。
実際の患者さんの元へ行ったり、病院で薬剤師から指導を受けたりすることで、早い段階から臨床現場に出ることで薬剤師としての責務を学んでいました
「Pharm.D」の研究室の取り組みをさらに広げ、学部の教育システムにまで発展させたのが「Pharm.dコース」ですね。
臨床現場に近い場所で活躍できるリーダーの育成
薬学研究コース
最後は「薬学研究コース」です。
薬学研究コースの目的は、基礎薬学研究を通じて社会に貢献する「創薬研究者」を養成することです。
そのため、化学薬学や生命薬学、医療・衛生学などの基礎薬学の教育・研究を中心に据えたプログラムを編成。
6年間で学会発表や論文発表レベルまでの教育・研究を行い、創薬基盤技術力を養成。
大学院博士課程に進んで創薬研究者をめざせるタイムテーブルが用意されています。
薬学研究コースの教育ベースは、従来の[薬科学科4年制+大学院修士課程]ですが、大きく異なるのは、これまでの薬学教育で課題とされてきた研究の連続性が確保されていること。
薬剤師国家試験の受験資格に必要となる事前学習や実務実習を5年次後半から6年次前期へと1年遅らせて実施することで、研究室配属後の2年半、連続して研究活動ができるようになり、就職活動にも影響されなくなりました。
臨床・医療の第一線にも触れ、薬剤師国家試験の受験資格を取得し、合格することで「薬剤師の資格・職能を持った創薬研究者」としての姿が具体的に見えてきます。
将来は、公的な研究機関、企業の研究部門、大学教員、医療機関、薬事行政に関わる官公庁などでの活躍が期待されます。
このコースのベースは従来の「薬学部4年制+修士課程2年」であり、研究者を育成する目的があります。
これまで大きく異なる点は、薬局、病院実習の始まる次期がずれることです。
今までは3年生から研究室配属され、5年時に実習期間があり、6年次に国家試験対策と卒業論文執筆がありました。
しかし、このコースでは実習時期を後ろに遅らせ、研究室配属後の研究期間を確保できるようになっています。
実際、実習が間に入っていると、
研究の進みが遅くなってしまい、ストップしてしまうという問題があった
と思います。
久しぶりに研究室に来たけど、自分のやっている研究テーマを思い出すのが大変ということもありました。
このコースのように連続して研究ができるのは非常に良いと思います。
私がこのコースに入りたくなるくらいですよ笑
もっと早い時期から導入してほしかった。
まとめ

さて、大阪大学が2019年度から始める薬学部全6年制教育についてまとめました。
大阪大学が設置する予定の3コースについて、公式ホームページを参考に説明しています。
これから大阪大学に進学しようと思っている高校生の方はぜひともチェックしておいてくださいね!
この教育制度によって、薬剤師としてのマインドと研究者のマインドの両方を合わせ持った人材が増えていくことでしょう。
箇条書きにするとこんな感じ。
臨床経験が豊富
研究能力がある
かなりハイスペックな人が増えそうな予感。
下の世代に負けないようにがんばらないと!
最後まで読んでいただきありがとうございました。